イスラエル攻撃、トランプ氏が了承か ガザ戦闘再開 死者356人に
イスラエル軍は18日未明(日本時間18日午前)、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスに対して「大規模な攻撃」を実施したと発表した。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などによると、空爆により、子供を含めて少なくとも356人が死亡し、多数の負傷者が出ている。イスラエル首相府は声明で「ハマスが停戦を巡る米国の提案を全て拒否したため、ネタニヤフ首相が攻撃を指示した」と述べた。
1月19日の停戦発効以降で、イスラエル軍が大規模な空爆を実施したのは初めて。停戦の延長やハマスによる人質解放に向けた交渉が停滞する中、イスラエル側が戦闘再開に踏み切った形だ。首相府は「イスラエルは今後、ハマスに対して軍事力を強化する」としており、停戦合意は崩壊の危機を迎えている。
イスラエル軍は18日、イスラエルとの境界付近にいるガザの住民に退避を要求した。空爆の範囲をさらに拡大させる可能性がある。
ロイター通信などによると、18日の空爆は北部ガザ市、中部デルバラー、南部のハンユニスやラファなど、ガザ地区の全域で実施された。ハマスの中堅幹部らが標的にされたとみられ、ハマスの政治局や治安部門の幹部など複数のメンバーが死亡した。
ガザでは3月2日以降、イスラエルによる封鎖で人道支援物資の搬入が止まっている。激しい空爆が続けば、人道危機の深刻化は必至だ。
一方、ハマスは現在も人質約60人を拘束中とみられる。イスラエルのカッツ国防相は「ハマスが全員解放しなければ、ガザで地獄の扉が開く」と威嚇した。これに対し、ハマスは18日の声明で「ネタニヤフ政権は停戦合意を破棄する決定を下し、人質を未知の運命にさらした」と反発。ハマス側が何らかの対抗措置に出る可能性もある。
イスラエル側は今回の戦闘再開に先立って支援国の米国と協議し、トランプ米大統領が攻撃を了承したと報じられている。
ガザでの戦闘は2023年10月に始まった。今年1月に発効した停戦合意は、「第1段階」とされる42日間の停戦期間中にハマスが一部の人質を解放し、イスラエル軍の完全撤退を含む「第2段階」に移行する内容だった。
第1段階の期限は3月1日に切れた。ハマスが第2段階に進むよう求めているのに対し、イスラエル側は第1段階の延長を要求。米国の中東担当特使、ウィットコフ氏も第1段階を4月20日ごろまで延長する案を提示した。しかし、ハマスは受け入れず、交渉は手詰まり状態が続いていた。
ガザの戦闘では、ハマスが先にイスラエルへ越境して民間人ら約1200人を殺害し、人質約250人を拉致した。ハマスは23年11~12月の一時停戦時に人質105人を解放。今回の停戦でも、亡くなった人の遺体を含めてイスラエル人33人とタイ人5人を引き渡した。一方のイスラエル側はパレスチナ人の囚人多数を釈放してきた。【カイロ金子淳】
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