チンギス・ハーンの子孫1.2万人 直径5m超の家系図公開 奈良

2025/04/15 18:22 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 奈良県天理市の天理参考館は15日、直径5・6メートルの円形の布に14世代約1万2000人の名前が連なる世界最大級の家系図を初公開した。モンゴル帝国初代皇帝チンギス・ハーンの子孫、チェチェン・ハーン・ショロイ(1577~1655)から始まっている。家系図は16日開幕する企画展「絆―ヒトとヒトをつなぐモノ」で展示される。

 帯状の木綿の布10枚を縫い合わせ円形に仕立ててあり、名前はモンゴル文字で書かれている。中心にショロイの名が大きく書かれ、2世代目は11人、3世代目は54人、4世代目は156人と増えていく。親子は点線で結ばれ、世代間は赤い線で隔てられている。清の役所の四角の印が11個押されている。一夫多妻で1人の男性の子が多いため、垂直でなく放射状に広がる家系図にしたらしい。1924年にモンゴル人民共和国が成立したことから、ショロイから数えて19代目のアクワン・ナリン(在位1910~23年)が最後になっている。パオの天井に張ったらしく、フックをかけるための穴が外縁部に並んでいる。

 男系男子の名前のみで、配偶者や女子の名はない。モンゴルでは、かつてチンギス・ハーンの男系男子のみが正統な支配者になる権利を有すると考えられていたためだ。

 経緯は不明だが、1966年以前に天理参考館が入手した。ただし書きから1905年に作成されたとみられる。類例はモンゴルで3例しか確認されておらず、うち1例は、世界的に重要な記録物を認定するユネスコの「世界の記憶」に登録されている。

 山形大の中村篤志教授(北アジア史)は「当時の男性貴族は全員、清朝に登録していた。登録から漏れたり貴族だと偽る人物が現れたりといった問題も起こり、自分が貴族であることを証明するために作ったのではないか」とコメントしている。

 企画展は天理大創立100周年を記念して開催。人と人のつながりに関わる古今東西の文物を集めた。6月2日まで。大人500円、小中高生300円。同館(0743・63・8414)。【大川泰弘】

毎日新聞

国際

国際一覧>