韓国大統領選、韓悳洙前首相が出馬表明 保守系候補の一本化焦点

2025/05/02 20:36 

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 韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)前首相(75)は2日、6月3日投開票の次期大統領選に無所属で立候補すると表明した。保守系の与党「国民の力」の公認候補は3日に決まる予定。支持率トップを走る進歩系の最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前代表(61)に対抗するには、韓氏と与党候補を一本化し、保守票の分散を防ぐことが不可欠で、今後水面下で調整が進むかどうかが焦点になる。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権発足時から首相を務めてきた韓氏は、通商官僚出身。高い実務能力が評価され、進歩系の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時は首相を、保守系の李明博(イ・ミョンバク)政権時は駐米大使を務めた。

 韓氏は2日、ソウル市内で記者会見を開き、「社会の全ての分野で、弱者に寄り添い、国民統合がなされるよう渾身(こんしん)の力を尽くす」と強調した。

 また、国民統合のため、憲法改正に全力を尽くし、それによって大統領と国会の間の権力の均衡を図る姿勢を明確にした。韓国では政治の過度な両極化や、2度も大統領が罷免される事態を招いた背景の一つに、大統領の権限の強さがあるとの指摘がある。

 韓氏はこうした指摘を念頭に「(大統領と国会、司法間の)分権という核心問題を提起したい」と述べた。そのうえで当選した場合には任期2年目に憲法改正を実現し、3年目には総選挙と大統領選を同時に実施。自身は5年の任期を全うせずに辞任するとも説明した。

 国民の力の公認候補を決める予備選では、保守強硬派の金文洙(キム・ムンス)前雇用労働相(73)と中道寄りの韓東勲(ハン・ドンフン)前党代表(52)が決選投票に進出。だが、両氏とも中道層と保守層の両方から支持を得るのは難しいと見込まれており、比較的党派色が薄いとされる韓悳洙氏の出馬を求める声が強まっていた。金氏は一本化交渉に前向きだが、韓東勲氏は「今は話す段階ではない」と慎重な姿勢を見せている。

 一方、韓悳洙氏も根強い人気があるわけではない。世論調査会社「韓国ギャラップ」が4月25日に発表した支持率調査によると、李在明前代表の支持率が38%なのに対し▽金氏6%▽韓東勲氏8%▽韓悳洙氏6%――にとどまる。また、尹政権の中心人物だったことから、戒厳令についての責任を問う声も多い。韓氏は「問題がないと憲法裁が判断した」と訴えるが、いかに戒厳令を巡るイメージを払拭(ふっしょく)できるかも課題となる。【ソウル日下部元美】

毎日新聞

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