イスラエル、ガザ戦闘の予備役数万人の招集へ 参加率は低下

2025/05/04 19:33 

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 イスラエル国防省は3日、パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘拡大のため、新たに数万人の予備役の招集命令を出すと発表した。4日の治安閣議で正式に承認される見通し。3月の戦闘再開以降、ガザ側では2400人以上が死亡しており、戦闘激化で民間人にも被害が出るのは必至だ。

 イスラエルメディアによると、イスラエル軍は2日、ネタニヤフ首相に軍の計画を提示した。ガザ地区では約60人の人質がイスラム組織ハマスに拘束されており、イスラエルは軍事力を増強して、さらにハマスに圧力をかける。ネタニヤフ氏は7日からアゼルバイジャンを訪問予定だったが、ガザ地区などでの情勢を鑑み、訪問を延期した。

 イスラエルは2023年10月の戦闘開始直後、ガザ地区での地上戦に備えて過去最大の36万人の予備役を招集した。イスラエルでは原則、40歳まで予備役に就く義務があるが、ハマスの越境攻撃で約1200人が死亡した衝撃もあり、予備役の参加率は約120%にもなった。今回の招集対象の予備役には既に複数回、招集されている人も含まれる見込みだ。

 ただ、予備役が順調に集まるかは不透明だ。戦闘が1年半以上続く中、度重なる招集で予備役も疲弊しているためだ。予備役の招集拒否は違法だが、仕事や病気などの理由があれば回避できる。地元メディアによると、予備役の参加率が60~70%にとどまる部隊もあるという。

 こうした中、イスラエル軍のザミール参謀総長は先月29日、「我々はこれまで以上に全員を必要としている」と軍事作戦に理解を求めた。ネタニヤフ氏は「戦争の最大の目的は敵への勝利だ」とし、戦闘継続を優先させる姿勢を鮮明にしている。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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