トランプ氏、プーチン氏と会談調整示唆 露ウクライナ協議 進展なく

2025/05/17 18:48 

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 トルコ・イスタンブールで開かれていたロシアのウクライナ侵攻を巡る両国の高官級の直接協議は16日、大きな進展がないまま終了した。双方とも交渉は継続する姿勢だが、ロシアはウクライナや米欧が提案した「無条件の一時停戦」に否定的な構えを崩していない。欧州から対露制裁強化を求める声が強まる中、プーチン露大統領とのトップ会談を通じた事態打開を模索するトランプ米大統領の対応が当面の焦点となる。

 今回の協議で、ロシア側はメジンスキー大統領補佐官、ウクライナ側はウメロフ国防相が交渉団を率い、仲介役としてトルコ高官も参加。約1時間50分にわたって協議した。

 両国は協議で、双方1000人規模の捕虜交換で合意した。ただ、露が全面侵攻を始めた2022年2月以降、100人規模以上の捕虜交換は再三行われてきた。両国とも、停戦に前のめりなトランプ氏に「対話の意思はある」とアピールしたい思惑があり、ハードルが低い捕虜交換で「成果」を演出した形だ。

 トルコのフィダン外相によると、両国は再度協議することでも合意した。ただ、具体的な時期や形式は不明だ。

 メジンスキー氏は協議後、「全体として結果に満足しており、今後も接触を続ける準備がある」と述べた。両国が「停戦の可能性に関する見解」を示した上で交渉を続けることで合意したと説明した。一方、ウメロフ氏は、露側に両国の首脳会談を要請したと説明。「首脳レベルでないと解決できない問題が多数ある」と強調した。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は協議後、訪問先のアルバニアで、英独仏ポーランドの4首脳と共にトランプ氏と電話で協議し、米国に対露制裁強化を求めた。

 トランプ氏は16日放送のFOXニュースのインタビューで「プーチン氏と取引できると思う。おそらく(首脳会談の)日程を調整するだろう」と述べた。制裁強化は「合意に至らない場合は実施する」とも警告した。ロシアは米露首脳会談には「かなりの事前準備と成果が必要」(ペスコフ大統領報道官)との立場で、早期開催には慎重だ。【モスクワ山衛守剛、ベルリン五十嵐朋子、ワシントン松井聡】

毎日新聞

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