なぜ女性だけが警戒? 襲撃相次ぐ豪、ラグビー元代表の投稿に共感

2025/06/03 07:30 

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 治安が良い国に挙げられるオーストラリアで、ジョギング中の女性が襲撃される事件が相次ぎ、女性の安全を巡る議論が広がっている。警察は「警戒を怠らないように」と注意を呼びかけたが、「なぜ被害を受ける側にばかり負担を課すのか」と異議を唱えた元ラグビー豪州代表の発言が、多くの共感を呼んでいる。

 豪公共放送ABCなどによると、首都キャンベラで5月下旬、ジョギング中の女性が10代の少年に背後から首を絞められた上、携帯電話を奪われた。3月にもキャンベラで別の女性ランナーが男に襲われる事件が起きており、地元警察は女性に対し、外出中は常に警戒するよう呼びかけた。

 こうした中、元ラグビー豪代表で上院議員のデービッド・ポーコック氏が、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に投稿した動画が注目を集めた。ポーコック氏は、2016~20年に日本のパナソニック(現埼玉)でもプレーした経験を持つ。

 動画でポーコック氏は「ランニング中に何を考えているのか興味があるんだ」と男性向けに問いかけた。自身は「鳥のさえずりを聞いている」と語る一方、「性的暴行を心配したことは一度もない」と語った。

 その上で、「多くの女性が外で走る時にそんな心配をしなくてはいけない国に住んでいるなんて、ばかげている」と指摘。女性側に自衛を求めるだけでなく、「男性もこのことを話し合い、変えるために行動すべきだ」と訴えた。

 投稿は広く拡散され、地元メディアによると、男女問わず称賛が相次いでいる。女性らからは感謝の声に加え、「後ろを振り返るようにしている」「同じルートを走らないようにしている」といった経験談も多数寄せられた。これに対し、男性たちからは女性らの自衛策について「知らなかった」と驚きの声も上がっているという。【バンコク国本愛】

毎日新聞

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