英「2035年までに防衛費5%」 NATO合意前に表明 安保戦略

2025/06/25 06:38 

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 英国のスターマー政権は24日、新たな国家安全保障戦略を発表した。加盟する北大西洋条約機構(NATO)が提案している新目標に合わせ、防衛費を2035年までに国内総生産(GDP)比で5%に引き上げると表明した。また、脅威の対象としてロシアとイランを強調し、英本土での「戦時シナリオ」に積極的に備えなければならないと警鐘を鳴らした。

 NATOは加盟国の防衛費を同3・5%に増やし、インフラ整備などの防衛関連費と合わせて5%とする目標について、開催中の首脳会議で合意を目指している。英国は合意に先んじて目標達成への決意を示し、存在感をアピールした形だ。

 英国の防衛費は現在、同2・3%。政府は3・5%まで増額するための財源を示しておらず、野党・保守党などは批判する。英紙フィナンシャル・タイムズは、政府が財源確保のために今年秋に増税を迫られる可能性があると報じている。

 新たな安保戦略では、敵対国がテロリストや犯罪組織も利用しながら、海底ケーブルやエネルギーのパイプラインに対する破壊工作、サイバー攻撃、偽情報の拡散などを通じて英国に脅威を与えていると指摘。敵対国としてまずロシアとイランを名指しした。

 その上で、「長い年月を経て久しぶりに、英本土が戦時の状況にさらされる可能性もある」と警告した。

 また、国際的な安全保障強化のためのインド太平洋地域におけるパートナーシップの一例として、日本、イタリアと進める次期戦闘機共同開発(GCAP)を挙げた。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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