「若い人たちの日本への熱い思い感じた」天皇陛下、モンゴルの1週間

2025/07/12 23:28 

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 モンゴル訪問中の天皇、皇后両陛下は12日、主な訪問日程を終えられた。天皇陛下はホスタイ国立公園の草原の中で報道陣の取材に応じ、「豊かな歴史文化、素晴らしい自然に触れることができた1週間でした」と振り返った。主なやりとりは以下の通り。

<記者> 野生馬のタヒはご覧になりましたか。

<天皇陛下> わりあい近くでも見ることができましたし、何度も確認することができました。モンゴルの豊かな自然を強く感じました。

<記者> モンゴル滞在を振り返って、印象に残っていることは。

<陛下> モンゴル国政府から国賓として雅子とともにお招きいただき、訪問できたことを大変うれしく思っております。フレルスフ大統領ご夫妻には歓迎式典、歓迎の晩さん会、そしてナーダムなどで心温まるおもてなしをいただき、心から感謝いたします。行く先々で多くのモンゴルの国民のみなさんに温かく迎えていただいたことも大変ありがたく思います。

 日本人死亡者慰霊碑への供花を雅子とともに行うことができたことも感慨深く思いました。

 この1週間を振り返ってみますと、モンゴルの豊かな歴史、文化、そしてまた素晴らしい自然に触れることができた1週間だったのではないかと思います。

 モンゴルと日本との関係に尽力されたさまざまな年齢層の方とお会いすることができました。それぞれの方が日本に対して温かい思いを持っていることもうれしく思いました。

<記者> 慰霊を終えた思いは。

<陛下> (抑留者は)政府庁舎などの建設に従事し、厳しい環境にありながら、自分の仕事に力を尽くし、モンゴルの国民から尊敬を集めていると聞いております。心ならずも故郷を遠く離れた地で亡くなられた方々を雅子とともに慰霊し、そのご苦労に思いを致しました。

<記者> 晩さん会ではビオラで浜辺の歌などを演奏された。選曲理由と感想を。

<陛下> (国立馬頭琴交響楽団との共演は)モンゴル側からのお誘いによるものです。浜辺の歌は以前、馬頭琴交響楽団が日本で公演をした時にも含まれていたので、比較的お願いをしやすいのではないかと思いました。皆さんと一緒に演奏できたことは、私にとっても大変素晴らしい思い出となりました。

 音楽は人に力を与えるものであると思います。同時に人と人とを結ぶものでもあるのではないかと思います。今回の共演が、日本とモンゴルの友好親善のさらなる発展につながるようであれば、大変うれしく思います。

 ビオラの練習は最近なかなか忙しくてできないですが、少しずつ続けております。今回のような機会をいただいたことを大変ありがたく思っております。

<記者> 18年前はお一人でのモンゴル訪問。今回はお二人でいろいろな場所を巡られました。

<陛下> 以前は私単独で訪問し、その時のことは雅子にもいろいろ話をしましたけれども、今回モンゴルの伝統、歴史、文化、自然を二人で見ることができ、とてもうれしかったです。

 

<記者> 浜辺の歌は望郷の歌だと思われます。モンゴルの地で演奏し、この地で亡くなった人たちにどういうふうに響いたと思いますか。

<陛下> 私の演奏がモンゴルで亡くなられた方々の心に響けば、大変うれしいことです。確かにおっしゃるように、望郷の歌という面もあるのかもしれませんね。

<記者> 愛子さまに今回の訪問について、どのように話したいですか。

<陛下> 私たちが実際に見てきたことや、やったことを写真なども見せながら話ができたらと思います。愛子も小さい頃から相撲に興味を持っておりましたし、相撲を通してモンゴルという国に親しみを持っていたのではないかと思います。それ以外の面も含めて、いろいろな話を愛子にすることができればと思っております。

 

<記者> 今回、子供たちにたくさん会われました。今後の両国関係に向けて、次世代が果たす役割、期待されることは。

<陛下> 若い人たちが日本に関心を持って、しかも非常に高い志で勉学に励み、中には留学したいと思っている人たちと会うことができ、日本に対する非常に熱い思いを感じることができました。そういった方々が今後、日本に対して理解を深めていただくことができればと強く思っております。

毎日新聞

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