ミャンマー軍政、非常事態宣言を解除 民主派を排除して総選挙へ
ミャンマーの軍事政権は31日、2021年2月のクーデター以来出していた非常事態宣言を解除すると発表した。国軍は12月にも民主派を排除して総選挙を行い、形式的な「民政移管」を主張して権力維持を狙うとみられる。
国内では民主派や少数民族武装勢力との戦闘が今も続いており、宣言を解除しても情勢に大きな変化はない見通しだ。
憲法が定める非常事態宣言の期間は原則1年で、6カ月の延長を2回まで認めている。ところが軍事政権はなし崩し的に7回も延長し、「解除後6カ月以内」に実施する義務がある総選挙を遅らせてきた。
しかし、全土での実施は不可能な情勢で、複数のミャンマーメディアは選挙管理委員会が全国330郡区のうち267郡区で投票を行う方針だと報じた。安全が確保されない場合は減る可能性もある。一方、民主派の「国民統一政府(NUG)」は、国軍による空爆が6月末までに3000回以上あり、クーデター以降の死者は6800人を超えたと指摘し、選挙の実施に反対する。
◇アウンサンスーチー氏の拘束続く
また、参加できるのは選管が承認した政党のみで、民主派指導者のアウンサンスーチー氏が率いた「国民民主連盟(NLD)」は既に政党資格を抹消されている。国軍はNLDが圧勝した20年の総選挙に不正があったとしてクーデターを正当化し、スーチー氏らの拘束を続ける。軍事政権が一方的な選挙を強行すれば反発が強まるのは必至で、治安の回復はさらに遠のく。
ミャンマーではクーデター以降、西側諸国からの制裁などで経済が低迷し、国軍の徴兵制から逃れるため多くの若者が国外に脱出した。今年3月に死者3800人以上の被害が出た大地震からの復興もほど遠い。行き詰まる状況を打開したい国軍は、民主派を締め出したうえで総選挙を行い、国際社会への復帰を模索するとみられる。
◇中露は総選挙支持か
こうした思惑に乗じ、ミャンマーへの影響を強めたい中国やロシアなどは総選挙を支持する姿勢を見せる。豊富な天然資源やインド洋に抜ける経済回廊に投資してきた中国は、習近平国家主席が5月にミンアウンフライン国軍最高司令官と会談するなど関係を強化してきた。2月には軍事政権が中国の民間警備会社によるミャンマー国内での活動を可能にする法律を制定しており、国軍主導の政権が続けば関与は一層深まる。
武器輸入などを通じてつながるロシアとも、インドのムンバイ港を経由した新たな貿易回廊の設立に向けた協議を行っている。ミャンマーの国営メディアは、ロシアとインドの大使が4月に相次いで選管幹部と面会したと伝えた。
一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)は、主要会議への国軍関係者の出席を認めず、総選挙に関しても暴力の即時停止が先だという態度を変えていない。ただし、実施されれば対応を変える可能性もあり、日本などはASEANの出方を注視しているとみられる。【武内彩】
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