イスラエル、ガザ市の全住民に避難命令 制圧へ攻撃本格化

2025/09/09 17:36 

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 パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り、イスラエル軍は9日、北部ガザ市の全住民に対して南部へ避難するよう命令を出した。イスラエルは、人質を拘束するイスラム組織ハマスに圧力をかけるとして、ガザ市の制圧を進めている。今後、攻撃が本格化するとみられる。

 イスラエル軍はこの数日、ハマスが拠点に使っているとして、ガザ市の高層住宅を次々と破壊している。ネタニヤフ首相は8日、「これはイスラエル軍による地上侵攻へ向けた序章に過ぎない」と述べ、さらなる軍事的圧力を示唆していた。

 ガザ市には約100万人が暮らす。避難先の確保が難しいことなどから、軍の推定では、20万人が市内にとどまるとみられている。民間人の犠牲増加や、飢餓など人道危機の深刻化は必至の情勢だ。

 ロイター通信によると、継続中の停戦交渉を巡って、ハマスは米国から示された新たな停戦案について内部で協議中だ。仲介国のカタールはハマスに受け入れるよう圧力をかけているという。

 ただ、ハマス幹部は、恒久的停戦への道筋が明確ではないと主張し、「米国の目的は、(我々に)停戦案を拒否させることだ」と反発している。

 ガザ保健当局の集計では、2023年10月の戦闘開始以降のガザ側の死者数は、今月8日時点で6万4522人となっている。一方、イスラエル軍は8日、ハマスとの戦闘で自軍の兵士4人が死亡したと発表した。イスラエル軍の死者数も計900人を超えている。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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