<特派員の目>AI巡る「行動規範」が米EUの新たな火種にも=岡大介(ブリュッセル)
「汎用人工知能(AI)の行動規範」。聞き慣れない難解な字面だが、要は生成AIを巡り企業が守るべき指針のことだ。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会がこの夏に公表した。
EUが取り組む人権や透明性を重視した先進的なデジタル規制の一環だが、フェイスブックを運営するメタは署名を拒否した。主な対象として想定された米巨大IT企業からは不満の声も出ており、EUのデジタル政策に批判的な米トランプ政権が外交の争点に持ち出す懸念もある。
EUでは2024年にAI規制法が成立し、26年から本格的に規則が適用される。行動規範はこの法律を補完する。生成AIを念頭に、著作権の保護や、開発するAIを巡る透明性の確保を求める内容となっている。複数の専門家、中小企業、市民団体などが策定にかかわり、7月に最終版が公表された。
行動規範に署名をしてもしなくてもAI規制法の順守が求められることに変わりはない。ただ、署名した企業は行政に対応する負担が減ることが期待できる。裏返せば、当局は署名をしない企業に対してより厳しくチェックするかもしれない。
この行動規範に対する対応が、米巨大IT企業間で分かれている。最も批判的なのはメタで、担当幹部が「(行動規範が求める内容は)AI法の範囲を超えている」と批判し、署名も拒んだ。一方、マイクロソフトやグーグル、チャットGPTを手がけるオープンAIは署名を済ませている。
EU側には、これまでは規制を重視し過ぎた結果、AIを含む先端技術で米国や中国に後れをとってきたとの反省がある。行動規範が機能すれば、規制の実効性を保ちつつ、企業と行政双方が規制を巡る負担を減らせる可能性がある。
ただ、メタのような署名を拒んだ企業はもちろん、署名した企業の中でも、「AIの開発と展開を遅らせるリスクを懸念する」(グーグル)との不満はくすぶる。
EUの厳格なデジタル規制は巨額の制裁金を伴うことも多く、トランプ政権は事実上の非関税障壁とみなして批判してきた。行動規範に巨大ITが利点を見いだせず、単なる「締め付け」とみなせば、米EU間の新たな火種となるリスクもはらむ。
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