トランプ氏が国連を強く批判 気候変動対策は「詐欺」 一般討論演説で

2025/09/24 09:40 

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 トランプ米大統領は23日、米ニューヨークで開かれている国連総会で、2期目で初めてとなる一般討論演説に臨んだ。国連について「問題を解決するどころか、作り出している」などと批判を展開。気候変動対策を「詐欺」だと主張し、各国に不法移民の排除も促した。創設80年を迎えた国連や既存の世界秩序に背を向ける姿勢が色濃く反映された演説となった。

 トランプ氏が国連で演説するのは5回目で今回は1時間弱に及んだ。トランプ氏は、自身がインドとパキスタンの停戦など「七つの戦争を終わらせてきた」と誇った。その上で、「国連の代わりに私がやらなければならなかったのは残念だ。国連は支援すら試みなかった」と批判した。

 また、「国連は大きな可能性を秘めているが、それには遠く及ばない」とも指摘。「国連は強い言葉の手紙を書くだけで、フォローアップもしない。空虚な言葉で戦争は解決できない。解決する唯一の方法は行動だ」と述べた。

 不法移民を巡っても「国連が米国へ不法に来る人々を支援している」とし、食料や住居などを提供していると非難。「すべての主権国家は国境を管理する権利を持たなければならない」と語り、各国に不法移民の排除を呼びかけた。国連が気候変動に警鐘を鳴らしてきたことにも言及し、「最大の詐欺」だと主張した。

 22日までに英国やフランスなどが表明したパレスチナの国家承認にも言及した。承認は、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区で戦闘を続けるイスラム組織ハマスへの「報酬になる」と批判。一方で、「ガザでの戦闘をすぐに止めなければならない。(ハマスが拘束する)人質を取り戻さなければならない」とも語った。

 ロシアが侵攻したウクライナ情勢では、米国がロシアに対して追加制裁を科す用意があるとしつつ、中国やインドのほか、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が露産のエネルギーを購入していると非難した。

 国連批判の一方で、1月の2期目就任以降に関しては、自賛を繰り返した。米政権の経済政策でインフレを抑制したなどとし、「米国の黄金時代だ」と強調した。

 トランプ氏は演説後、国連のグテレス事務総長と2期目で初めて会談した。演説とは一転して「米国は国連を100%支持している」と説明。「意見が合わないことも時々あるかもしれないが、支持している。平和に関して国連が持つ可能性は非常に大きいと考えているからだ」と語った。【ニューヨーク松井聡】

毎日新聞

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