気候変動対策は「世界史上最大の詐欺」 トランプ氏が国連演説で主張

2025/09/24 09:56 

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 トランプ米大統領は23日に行った国連総会での一般討論演説で、国連を中心に各国が協調する気候変動対策を「世界史上最大の詐欺」と呼んだ。「グリーン詐欺から手を引かなければあなたたちの国は破綻する」と一方的に訴え、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱方針を正当化した。

 演説では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは化石燃料より「高価」で「機能しない」と非難する一方、燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭を「クリーンで美しい」と称賛した。国連などによる温暖化予測は誇張され「すべて間違っていた」と主張し、「私は物事を予測するのが得意だ。私が言ったことはすべて正しかった」と自賛した。

 一連の発言は、世界の科学者が参加する国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などによる厳格なプロセスを経た知見を、根拠を示すことなく否定する内容だ。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、2024年に稼働を開始した新たな再エネプロジェクトの9割以上は、化石燃料発電よりもコスト効率に優れていた。

 一方、この日に始まった一般討論演説では、多くの首脳が気候変動対策を加速させる必要性を訴えた。

 トランプ氏の直後に演説したインドネシアのプラボウォ大統領は、「世界最大の島国」としての立場から、気候変動による海面上昇の脅威を強調。「スローガンではなく、即時の行動で気候変動に立ち向かう」と語り、パリ協定の履行を約束した。11月に国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)で議長国を務めるブラジルのルラ大統領は、「地球への約束の真剣さを示す時だ」と述べ、野心的な温室効果ガス削減目標の策定を呼びかけた。

 パリ協定の支持・推進を掲げる米国内の州政府や企業の有志連合「アメリカ・イズ・オール・イン」の共同議長を務めるジーナ・マッカーシー元環境保護局長官は、トランプ氏が脱炭素にかかわる投資や政策への影響力を「自ら放棄している」と指摘。「トランプ氏は国際舞台で米国の恥をさらし、国民の利益を損なっている」と批判した。

 トランプ政権は1期目に続き、国連にパリ協定からの離脱を通知。化石燃料の増産を掲げ、発電所や自動車などから排出される温室効果ガスを規制する法的根拠を破棄する方針を打ち出している。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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