ドゥテルテ氏、殺害対象者への拷問やレイプ指示か 訴追内容を公開

2025/09/24 20:40 

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 国際刑事裁判所(ICC)は22日、強硬な薬物犯罪対策「麻薬戦争」を巡り逮捕されたフィリピンのドゥテルテ前大統領(80)の訴追内容を記した文書を公開した。南部ダバオ市長と大統領在任中の2013~18年に、少なくとも76人の殺人と2人の殺人未遂に関与した疑いで計3件の人道に対する罪に問われた。

 ICCの文書によると、ドゥテルテ氏は市長時代から、麻薬の使用や売買への関与が疑われる市民らを「無力化」する計画を立案。警察官や殺し屋による暗殺部隊を結成し、資金や武器を提供して殺害を実行させたとされる。政府高官らも関与し、大統領就任後は国家規模で実施されたと指摘している。

 文書には、大統領在任中は数千人の殺害に加え、数十件の拷問やレイプにも関与したとの記載もあった。ドゥテルテ氏が暗殺部隊に対し、拷問やレイプで殺害対象者の自白を強要するよう指示していたとされる。警察署内では「殺害ノルマ」が課され、実行した警察官には報奨金が支払われることもあったという。

 過去の発言も引用され、検察官としてダバオ市の警察学校で刑法を教えていた際には、容疑者の証拠捏造(ねつぞう)を指導し「公益のための必要悪」と説明。警察官が容疑者を射殺後、遺体に銃を置き、正当防衛を装ったこともあったという。

 担当検察官は、実際の被害規模は、訴追対象となった人数よりも「はるかに大きい」としている。

 当初は23日から審理が予定されていたが、弁護側がドゥテルテ氏の健康状態を理由に無期限延期を求め、ICCの予備裁判部は審理の延期を発表した。【バンコク国本愛】

毎日新聞

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