モルドバ議会選 大統領が勝利宣言「EUへの道のり保証された」

2025/09/29 21:25 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 東欧の旧ソビエト連邦(ソ連)構成国モルドバの議会選(1院制、定数101)の投票が28日あり、即日開票された。中央選挙管理委員会が発表した暫定結果によると、2030年の欧州連合(EU)加盟を目指すサンドゥ大統領が率いる与党「行動と連帯(PAS)」が開票率99・9%の時点で50%をわずかに超える得票率で他の勢力を大きくリード。単独過半数を維持し、親EU路線が継続される情勢となった。

 ロイター通信によるとサンドゥ氏は29日、「我々のEUへの道のりが保証されたことをうれしく思う」と勝利宣言した。

 英BBC放送の試算によると、PASの議席は現有の61からは減るものの55を確保するとみられる。

 選挙前は、ロシアに融和的とされる社会党や共産党などによる野党連合「愛国者ブロック」が対抗馬になると目されていた。だが、首都キシナウや、大きな比重を占める在外者投票で伸び悩んでいる。24%超の支持にとどまり、獲得議席も26程度になる見通しだ。

 選挙を通じ、モルドバ当局やサンドゥ氏は、影響力を取り戻したいロシア側が偽情報の拡散や買収工作を行ったと非難してきた。複数の欧米メディアによると、モルドバ当局は22日、大規模な暴動などの準備をした容疑などで250カ所を捜索し、74人を拘束したと明らかにした。

 EUのフォンデアライエン欧州委員長は29日、X(ツイッター)に「恐れや分断の種をまく試みも、モルドバの決意を砕くことはできなかった。我々の(EU加盟に向けた)扉は開いている」と選挙結果を歓迎するコメントを出した。

 一方、ロイターによると、ロシアのペスコフ大統領報道官は、ロシア在住のモルドバ人向けの在外投票所が減らされた上、モルドバ国内でも「一部の政治勢力に選挙違反があった可能性を指摘している」と述べ、選挙結果の正当性に疑問を投げかけた。選挙後もEUとロシアでモルドバを巡る綱引きが続く可能性がある。

 モルドバは人口約250万人の小国ながら、ウクライナとの国境沿いには、親露派勢力が実効支配しロシア兵が約1500人駐留する沿ドニエストル地域を抱える。ロシアによるウクライナ侵攻で地政学上の重要さが増している。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

国際

国際一覧>