「解散総選挙薄れつつある」 仏暫定首相、マクロン大統領に報告
フランスのルコルニュ暫定首相は8日、与野党間で対立が続く2026年度予算案について野党幹部との協議を終え、マクロン大統領に結果を報告した。ルコルニュ氏は報告後、仏テレビで「(予算成立への)道はまだ開かれている」と述べ、国民議会(下院)の解散・総選挙の可能性は薄れつつあるとの認識を示した。次期首相については「大統領が48時間以内に任命できる」との見通しを語った。
ルコルニュ氏は7日から中道右派・共和党、中道左派の社会党の幹部と面会し、予算案などを巡る妥協点を探っていた。8日夜には仏テレビ「フランス2」に出演し、極右・国民連合が求める解散・総選挙について「下院では絶対多数が反対している」と説明。予算案について「相対的多数が共通の予算案に合意する用意がある」との認識を示した。
また、ルコルニュ氏はマクロン氏に対し「道は困難ではあるが、下院解散の可能性は後退しており、48時間以内に首相を任命できる状況にある」と報告したことも明かした。急進左派「不服従のフランス」(LFI)などが求めるマクロン氏の辞任については「今はその時期ではない」との考えを示し、自身が首相に再任命される可能性についても否定した。
ルコルニュ前内閣は26年度予算案などの主要政策について野党の理解が得られなかったとして6日に総辞職した。マクロン氏はルコルニュ氏に野党と協議し、混乱を収拾するよう求めていた。
予算案を巡っては、与党の中道政党が提案した約440億ユーロ(約7兆7800億円)の支出削減策に社会党などが反発。社会党は与党が進めた受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる年金改革法についても修正を求め、高額資産への課税を主張していた。
ルコルニュ氏は、年金改革が「最も困難な争点になっている」と認めた上で、「解決すべき問題がある」と修正に柔軟な姿勢を示した。一方で、年金改革を中止すると27年に「少なくとも30億ユーロの追加費用がかかる」との試算を示し、何らかの増税が必要との見方も示唆した。
フランスの財政は悪化している。欧州連合(EU)統計局によると、25年1~3月期の政府債務はGDP比114%で、EU加盟国でギリシャ、イタリアに次ぐ水準となっている。財政の悪化から仏国債価格は下落(利回りは上昇)しており、ルコルニュ氏は25年にGDP比5・4%と見積もられる財政赤字を26年に4・7~5%に抑制する方針を掲げてきた。
年金改革法は、社会党など野党の反対で23年、当時のボルヌ内閣が憲法上の特別措置で採決なしで強行採択した経緯がある。【ブリュッセル宮川裕章】
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