ハマス、人質2遺体引き渡し「約束果たした」 イスラエルは反発

2025/10/16 09:57 

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 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスは15日、新たに人質2人の遺体をイスラエルに引き渡した。ハマスは声明で「生存している人質と見つかった遺体はすべて引き渡し、停戦合意の約束を満たした」と述べた。だが、まだ19人分の遺体の引き渡しが終わっておらず、イスラエルが反発を強めるのは必至だ。

 ハマスは声明で、残っている遺体については捜索に「膨大な努力と特殊な機材」が必要だと主張している。だが、イスラエルは14日、遺体の引き渡しが合意通りに進んでいないとして、一時は支援物資の搬入を制限することを決めた。15日に制限を取りやめたものの、再び何らかの圧力をかける可能性がある。

 ロイター通信によると、カッツ国防相は15日、軍に対して戦闘再開に備えて準備するよう指示した。

 一方、トランプ米大統領は米CNNテレビの電話インタビューで、ハマスが武装解除を拒否した場合どうするかを問われ、「私が指示すれば、イスラエルは(ガザの)道路に戻るだろう」と発言。ハマスが停戦合意を守らなければ、イスラエルによる戦闘再開を認めることも検討する意向を示した。

 米国の和平計画では、ハマスは停戦発効から72時間以内に遺体を含む人質全員を解放し、第2段階としてハマスの武装解除などを進めるとされている。

 だが、ロイター通信などによると、ハマスなどは停戦が発効してから「イスラエルに協力した」として、対立関係にあったガザの一部の氏族を処刑した。米中央軍のクーパー司令官は15日、ハマスに対し「暴力をやめ、無実の市民に対する発砲をすぐに停止するよう求める」と述べ、即座に武装解除に応じるよう要請した。

 ガザでは深刻な食料不足が続いており、支援物資の拡大が急務だ。ロイター通信などによると、国連は食料など19万トンの物資をガザの境界付近に待機させているという。ただ、イスラエルのベングビール国家治安相は15日、X(ツイッター)で「(支援物資を積んだ)数百台のトラックに門戸が開かれたら、ハマスはよく知られたやり方にすぐに戻った。問題解決には地球上から(ハマスを)一掃するしかない」と投稿し、援助拡大を批判した。

 戦闘による死者数も増加している。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、北部シュジャイヤ難民キャンプでは15日、イスラエル軍に近づいたとして2人が攻撃され、死亡した。ガザでは14日にも9人が死亡している。

 ガザの保健当局は15日、新たにがれきから遺体が見つかるなどして、これまでの死者数が6万7938人になったと発表した。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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