「通常取材で訴追の恐れ」 米国防総省の取材規制、メディア一斉拒否
米国防総省が示した取材規制の指針について、米国内外の主要メディアは15日までに受け入れを拒否する意向を示し、大半の記者が記者証を返却した。
通常の取材活動をすれば、刑事責任を問われる可能性がある内容だったためだ。世界最大の軍組織の動向取材に大幅な制約が課される見通しになった。
「間違いなく報道の自由にとって暗黒の日だ」。国防総省を取材する記者らが加盟するペンタゴン・プレス協会は15日の声明で、指針の導入を批判。「(指針は)安全保障報道を犯罪化し、同意した記者は訴追される可能性がある」と訴えた。
AP通信によると、国防総省に常駐する記者ら数十人は15日午後4時ごろから一斉に退去した。指針に同意しない場合は午後5時までに記者証を返却することを求められていた。今後は取材のたびに1~3日前までに入館を申請する必要があり、省内での行動も大幅に制限される。
取材規制の指針は9月に示された。未公表の情報を報じる場合は、機密情報以外も「事前に当局者の承認を受けなければならない」と指摘。メディア側は事前承認が検閲に当たり、報道の自由を定めた合衆国憲法修正1条に違反するとして反発した。
国防総省はメディア側との協議を経て10月上旬、記者が「事前承認の義務を負わない」と指針を修正。一方で当局者に対する情報提供の「懇願」は「公務員に対する違法行為の助長」に当たり、刑事責任に問われる可能性に言及した。パーネル報道官は「指針への同意ではなく、理解したことを確認するだけだ」と釈明したが、署名しない場合は記者証を返却するよう求めた。
メディア側は「修正1条で保護される通常の取材活動を行っただけで処罰される可能性がある」(米紙ニューヨーク・タイムズ)などとして、改めて拒否する意向を表明。CNNなど大手テレビ局や主要な新聞・通信社、トランプ政権に近い報道姿勢で知られるFOXニュースやワシントン・タイムズなども同調した。
米メディアによると、トランプ大統領を支持する右派メディアのワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク(OANN)1社のみが同意を表明。「修正された指針を弁護士と徹底的に検証した上で署名した」としている。14日にFOXの番組に出演した元米軍幹部は、トランプ政権が「記者の口にスプーンで運んだ情報だけ報道させたいのだろうが、それはジャーナリズムではない」と批判した。【ワシントン金寿英】
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毎日新聞記者も国防総省が示した取材規制の指針に同意しない意向を伝え、15日に記者証を返却した。
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