「王はいらない」反トランプデモ 全米2500カ所超で最大規模

2025/10/19 12:20 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 全米各地で18日、「ノー・キングス(王様はいらない)」をスローガンに、トランプ大統領の強権的な政治手法に抗議する大規模なデモが開かれた。主催団体によると、関連するデモは全米50州の2500カ所以上で行われ、第2次トランプ政権発足後で最大規模になると見込む。共和党幹部は「米国に対する憎悪」などと位置づけ、党派対立を先鋭化させている。

 「ノー・キングス」デモは6月に続く2度目。前回はトランプ氏主導で計画が進んだ軍事パレードに合わせて開かれ、労働組合やリベラル系の団体が連帯し、約500万人が参加したとされる。

 首都ワシントンでは、連邦議会議事堂とホワイトハウスを結ぶペンシルベニア通りに多くの人が詰めかけ、身動きが取りにくいほどになった。参加者は、合衆国憲法を軽視するような振る舞いを続けるトランプ氏への皮肉を込めて、憲法前文最初の言葉「ウイ・ザ・ピープル(我ら人民)」や「建国以来、王はいない」などと書かれたプラカードなどを掲げ、トランプ政権に抗議した。

 姉妹ら3人で参加していた南部バージニア州のエイミー・ノストランドさん(62)は、「民主主義を守り、腐敗に反対し、自分こそは法の上に立つと考えている大統領に反対するために参加した」と参加理由を話した。

 東部メリーランド州から夫妻で参加したナンシー・ポプソンさん(54)はトランプ氏を「独裁者、専制君主のように振る舞い、政府機関を完全に支配しようとしている」と批判。「特に移民に対する姿勢に憤りを感じている。多様性と包摂性が我が国を偉大にしている要素だ」と語った。

 夫のグレンさん(54)は、今月1日から始まった政府機関の一部閉鎖について「民主党が立ち上がり、戦っているという意味で素晴らしい一歩だ」と述べ、民主党に対してトランプ政権と戦うよう求めた。

 一方、共和党のジョンソン下院議長は開催前、デモについて「米国への憎悪」や「親(イスラム組織)ハマス」の集会などと呼び、民主党や支持者を非難する材料とした。

 ニューヨーク市の観光地タイムズスクエアで、破損した「自由の女神像」をイメージした衣装でデモに参加したブルック・シアさん(45)は、「私たちはテロリストではない。これが民主主義だと示すためにここへ来た」と強調。「この国を愛している。トランプ大統領がしていることが好きではないだけだ」と語った。【ワシントン西田進一郎、ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース