IAEA理事会、イランに核施設の情報提供を求める決議案を採択

2025/11/21 09:30 

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 国際原子力機関(IAEA)理事会は20日、イランに対し、6月にイスラエルと米国の攻撃を受けた施設の状態などについて、速やかに情報提供することを求める決議案を賛成多数で採択した。IAEAによる査察は6月以降滞っている。IAEAは危機感を募らせるが、イランの協力回復は見通せない。

 決議案は米国と英仏独が提出し、19カ国が賛成、中国とロシアなど3カ国が反対した。

 ロイター通信によると、IAEAは理事会に先立ち加盟国に報告書を配布。6月以降にイランで査察できたのは攻撃を受けなかった施設の一部にとどまり、攻撃された施設では実施できていないと説明した。イランの濃縮ウランの備蓄量などを検証できていない期間が「長引きすぎている」と危機感を示した。

 イランは決議に反発し、中露などと発表した共同声明で「対話と協力を進めるための努力を無にしかねない」と非難した。

 イランの核開発を巡っては、英仏独の主導で9月末に国連の対イラン制裁が復活し、イランがウラン濃縮活動を制限する代わりに制裁を解除する「核合意」は崩壊し、イランとIAEAとの関係も冷え込んでいる。

 IAEAによると、イランは6月にイスラエルとの戦闘が始まった時点で、濃縮度60%の高濃縮ウラン約440キロを保有していた。濃縮を進めれば核爆弾10発分に相当する。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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