米、ウクライナ東部に「自由経済圏」を提案 ゼレンスキー氏明らかに
米国が主導するロシアとウクライナの和平計画案を巡り、ゼレンスキー大統領は11日、領土問題に関する米国の提案内容を明らかにした。ウクライナ東部ドネツク州からウクライナ軍が撤退し、その地域を非武装の「自由経済圏」とするという。ウクライナ側は合意していない。
ロシアはウクライナ東部2州の割譲を求めている。このうちルハンスク州はほぼ全域がロシア軍の占領下に置かれているが、ドネツク州は約3割をウクライナ軍が維持している。米国は、割譲を拒否するウクライナに対し、「妥協案」としてこの案を提示した。
ゼレンスキー氏は「ロシアはこれを非武装地帯と呼んでいる」とも述べた。領土問題は合意に至っていないと改めて強調し、領土問題の判断には「選挙や国民投票でウクライナ国民が発言権を得なければならない」との見解も示した。
米国との協議では、ロシアが一部を占領する東部ハルキウ州、北東部スムイ州、東部ドニプロペトロウスク州からは露軍が撤退し、南部のザポリージャ州とヘルソン州では現在の前線を凍結させることが議論されたという。
ゼレンスキー氏は11日、ウクライナを支援する仏英を中心とする有志国連合とのオンライン協議に参加し、トランプ米大統領が求める大統領選の実施についても言及した。「少なくとも選挙の期間中と投票の間、停戦が必要だ」と主張した。「率直に言えば、米国がこのことをロシア側に伝えるべきだと思う」との考えも示した。
ゼレンスキー氏は9日、欧米の支援で安全が確保されれば3カ月以内に選挙が実施できると表明していたが、より条件面で踏み込んだ。選挙の実施と引き換えに停戦を実現させたい意向とみられる。
ゼレンスキー氏は11日に米国のルビオ国務長官やウィットコフ中東担当特使らともビデオ通話で協議し、「安全の保証」などについて議論した。13日にはパリでウクライナと英仏独、米国の高官協議が予定されている。
ただ米ホワイトハウスのレビット報道官は11日、記者団に対し、米国が13日の協議に代表者を送るかは未定だとした。レビット氏は「トランプ大統領は(ロシアとウクライナ)双方に対し非常にいらだち、協議のための協議にうんざりしている」と指摘した。【ベルリン五十嵐朋子】
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