非武装地帯や停戦監視団を明記 ウクライナ提案の和平案内容が判明

2025/12/12 10:48 

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 トランプ米政権が主導するウクライナとロシアの和平案に関し、ウクライナが10日に米側に提示した修正案の内容が11日、明らかになった。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問が、仏紙ルモンドの取材に答えた。現在の前線の両側に非武装地帯を設け、停戦監視団や外国部隊が駐留するなどの内容。ウクライナ東部のロシアによる占領状態を事実上、容認する。

 ポドリャク氏によると、ウクライナ側の修正案では、ウクライナ東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)の現在の前線の両側に非武装地帯を設け、両軍が撤退する。非武装地帯には、第三国による停戦監視団と外国部隊が駐留し、停戦時の合意事項が順守されているかを監視する。

 ポドリャク氏は「第三国による活動内容を正確かつ明確に決めなければいけない」と述べ、「理想的には米国が参加することが好ましい」と語った。

 修正案ではウクライナ軍が強固な防御拠点を築いているドネツク州の一部などをウクライナが保持する。一方、ドンバス地方の大部分を占めるロシア支配地域についてポドリャク氏は「残念ながら、事実上、ロシアの占領下にとどまる」と述べた。

 領土割譲のためには、選挙か国民投票が必要となる可能性があるが、国民が承認するかは不透明だ。

 ポドリャク氏によると、修正案は停戦に関する20項目から成る第1部のほか、停戦後のウクライナへのロシアの再侵攻を防ぐ「安全の保証」、欧州全体の安全保障体制に関する第2部、ウクライナの復興、再建計画をまとめた第3部で構成される。

 第3部では、ロシアがウクライナの復興資金の一部を支払うことが明記された。ポドリャク氏は「侵略国であるロシアが資金調達に貢献しなければ、戦争から利益を得るだけで、(将来の侵略を)抑止する要因がなくなる」と説明した。

 ウクライナによる修正和平案の起草には、フランスのマクロン大統領、英国のスターマー首相、ドイツのメルツ首相が参加した。

 ウクライナを支援する仏英独の3首脳を中心とする有志国連合は11日、オンライン会議を開き、欧州で保管されているロシア中銀の凍結資産の活用などについて議論した。仏英独とウクライナ、米国は13日にもパリで和平案の調整のための会合を開く可能性がある。3首脳は15日にベルリンで、トランプ大統領を招いた首脳会談の開催を米国側に提案している。【ブリュッセル宮川裕章】

毎日新聞

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