米上院「オバマケア」補助金増額巡る採決動議否決 保険料急騰か

2025/12/12 17:37 

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 米上院は11日、医療保険制度(オバマケア)の補助金増額を巡り、共和党と民主党がそれぞれ提出した法案の採決に向けた動議を否決した。

 増額は年内で終了する見通しで、数千万人が保険料の急騰に直面するとみられる。来年の中間選挙で主要な争点になる可能性がある。

 オバマケアは、公的補助を通じて国民に医療保険加入を事実上義務付けた制度。バイデン前政権下の2021年、新型コロナウイルス対策として25年末まで補助金が増額された。

 期限切れが迫る中、民主党は連邦政府の「つなぎ予算案」に賛成する見返りとして補助金増額の延長を要求。上院共和党は補助金増額の採決を行うことを条件に、民主党の一部議員の協力を得て政府再開にこぎ着けた。

 ただ両党の溝は埋まらず、増額分を廃止して医療費の自己負担が重い保険加入者に、一定額の現金を2年間給付する共和党案と、増額を3年延長する民主党案はそれぞれ法案採決に必要な60票を確保できなかった。

 共和党は、補助金が政府の財政を圧迫し、保険料の高騰を引き起こして保険会社を潤していると批判。上院共和党トップのスーン院内総務は、超党派での合意に向けて民主党と協議を継続する意向を示しているが、先行きは見通せない。トランプ大統領は11日、「私たちの案の方が人気がある」と主張し、現金給付を推す意向を強調した。

 一方、補助金増額の廃止は多くの共和党支持者にも打撃になるとみられ、上院共和党からは4人が採決で民主党案の賛成に回った。

 NBCニュースは2200万人の保険料が平均で2倍に跳ね上がると伝えており、医療政策調査機関KFFの調査でも回答者の74%が補助金増額の延長を支持している。

 上院民主党のシューマー院内総務は採決に先立つ討論で「米国民は上院がどちらに投票したか忘れないだろう」と強調。中間選挙で攻勢を強める姿勢をにじませている。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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