米南方軍の司令官が退任 「麻薬船」対応などで国防長官と対立か
中南米やカリブ海を担当する米南方軍の司令官を務めていたアルビン・ホルジー海軍大将は12日、指揮権を司令官代理に引き継いで退任した。ホルジー氏は2024年11月に就任したばかり。米メディアは、トランプ政権がカリブ海などで実施している「麻薬密輸船」への攻撃に関して懸念を示していたことなどを理由に、ヘグセス国防長官から退任を迫られたと報じている。
ホルジー氏は12日に南部フロリダ州で開かれた指揮権引き継ぎの式典に出席した。あいさつでは、カリブ海での作戦やわずか1年で退任する理由には触れず、「我々は常に、民主主義、法の支配、人権という価値観を共有する志を同じくするパートナーや国家のためにあらねばならない」などと語った。
トランプ政権は9月以降、カリブ海や東太平洋で「麻薬運搬船」とみられる船舶への攻撃を実施している。攻撃はこれまでに20回を超え、計80人以上を殺害した。政権は麻薬対策を名目にカリブ海に軍艦などを増強して配備し、ベネズエラのマドゥロ政権への圧力を強めている。ただし、こうした攻撃に対しては法的な根拠を疑問視する声が専門家や議会から出ている。
ホルジー氏の退任は、ヘグセス氏が10月にX(ツイッター)で突然発表した。司令官の任期は通常2~4年とされ、就任から1年での退任は異例だ。ヘグセス氏は理由については触れなかった。
ただし、複数の米主要メディアによると、ホルジー氏はカリブ海での攻撃の合法性に懸念を示していたという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ヘグセス氏はパナマ運河への自由なアクセスを確保するための軍事的な選択肢を策定するようホルジー氏に指示したものの、迅速に対応しなかったと感じていたとも報じ、退任は事実上の更迭との見方を示した。【ワシントン西田進一郎】
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