タイ・カンボジア紛争、中国が仲介に意欲 外相協議で停戦呼びかけ

2025/12/19 18:01 

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 タイとカンボジアの国境紛争を巡り、中国の王毅外相は18日、両国の外相とそれぞれ電話協議し、停戦を呼びかけた。新華社通信によると、王氏は「両国の平和再建を促す上で建設的な役割を果たす」と述べ、仲介に意欲を見せた。今月7日に再燃した武力衝突は、ドローン(無人機)やロケット砲による攻撃が19日も続き、長期化の様相を見せている。

 タイ外務省の報道官は19日、シーハサック外相が王氏に対し「和平交渉の前に、双方の軍が協議を行う必要があると強調した」と説明した。中国外務省は緊張緩和に向けたシャトル外交を目的に、アジア担当特使を両国に派遣しており、王氏は「友人であり、近隣国として中国は両国が戦争に突入することを最も望んでいない。引き続き橋渡しをする」と述べた。

 タイでは最近、タイ軍がカンボジア軍から中国製の対戦車ミサイルなどを押収したと報じられ、中国とカンボジアの関係を不安視する声が強まっていた。中国国防省の報道官は18日、「中国は長期間にわたり、タイ、カンボジア両国と軍備貿易を含む通常の防衛実務協力を行っている」とする声明を出し、武力衝突との関係を否定した。

 一方、タイ外務省は19日、シーハサック氏がルビオ米国務長官とも電話協議したと明らかにした。トランプ大統領が12日に停戦を呼びかけた後も戦闘は激化しており、米政権は地域への影響力の維持を図ったとみられる。【バンコク武内彩、北京・河津啓介】

毎日新聞

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