米がベネズエラの石油タンカー拿捕 2隻目 麻薬対策で圧力強める

2025/12/21 14:00 

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 米国のノーム国土安全保障長官は20日、沿岸警備隊が国防総省の支援を受け、南米ベネズエラを出航した石油タンカーを拿捕(だほ)したと発表した。10日にも沖合で拿捕しており、今回で2隻目。トランプ政権は麻薬対策を名目に、反米左派のマドゥロ政権への圧力を強め、ベネズエラにとって貴重な収入源でもある原油を輸送するタンカーを狙い撃ちにしている。

 ノーム氏はX(ツイッター)に米当局のヘリが石油タンカーの上でホバリングしている動画を投稿。「米国はこの地域で麻薬テロの資金源となっている石油の違法な輸送を追跡し、阻止する」と主張した。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、拿捕されたタンカーはパナマの国旗を掲げ、180万バレル超の石油を積載していた。アジアへ向かっていたとみられ、ベネズエラ産原油を中国の石油精製所に運んできた中国の石油業者が関与しているとの情報もあるという。

 トランプ大統領は今月16日、ベネズエラが米国から石油や土地などを「盗んだ」と主張し、ベネズエラを出入港する制裁対象の石油タンカーの全面的な封鎖を表明していた。米ニュースサイト「アクシオス」は、今回拿捕した石油タンカーが米財務省の制裁リストには含まれていないとし、政権が関連するほぼ全ての石油タンカーの拿捕を狙っていると伝えている。

 AP通信によると、ベネズエラ政府は声明で「ベネズエラの石油を輸送する民間船舶に対する米国の窃盗とハイジャックを拒否して非難する」と反発。マドゥロ政権は米政権の海上封鎖措置は「主権の侵害だ」とし、国連安全保障理事会に緊急会合の開催を求めている。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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