イスラエル、「ソマリランド共和国」を国家承認 国連加盟国で初

2025/12/27 01:14 

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 イスラエルは26日、アフリカ東部ソマリアで一方的に独立を宣言している「ソマリランド共和国」を国家として承認した。国連加盟国がソマリランドを承認したのは初めて。

 ソマリアではイスラエルと対立するトルコが影響力を増しているほか、対岸のイエメンでは敵対するイランと連携する武装組織フーシ派が首都を制圧している。イスラエルとしては、ソマリランドとの関係強化を通じて周辺地域での影響力を確保する狙いがあるとみられる。

 イスラエルのサール外相によると、ネタニヤフ首相とソマリランドの「大統領」であるアブドゥラヒ氏は26日、互いに相手国を承認し、外交関係を樹立する合意文書に署名した。サール氏はX(ツイッター)で「地域の安定や経済的繁栄に向けて関係を発展させるために協力していく」と述べた。

 ソマリランドの大統領府も声明で「国際的な正当性を求めてきたソマリランドにとって一里塚になる」と歓迎。イスラエルとの国交樹立を通じて「中東・アフリカ地域の平和に貢献する」と強調した。

 一方、ロイター通信によると、ソマリアとトルコ、エジプトなどの外相はイスラエルを非難した。

 ソマリランドは1991年、ソマリアの社会主義政権が崩壊したのを機に、南部の優遇策に不満を抱いた北部の住民らが一方的に独立を宣言して設立された。広さは日本の約4割にあたる約13・7万平方キロ。内戦が続くソマリアの中央政府の支配地域に比べて治安は安定しており、独自の通貨も発行している。2020年には台湾が大使館に相当する代表処を設置し、関係を深めている。

 ソマリアでは北東部も1998年、「プントランド」が自治を宣言しており、国家の分裂状態が続いている。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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