防衛省が川重を指名停止処分 契約不履行相当額を返納させる方針
防衛省は26日、海上自衛隊の潜水艦用ディーゼルエンジンの燃費性能データを改ざんしたとして、製造元の川崎重工業を2・5カ月の指名停止処分とした。適切に契約を履行していなかったことから、不履行相当額を川重に返納させる方針も明らかにした。
指名停止期間は2026年3月11日まで。内規に基づき5カ月が適当と算出したうえで、川重が防衛省にデータ改ざんの可能性を自主申告したことを考慮し、期間を短縮した。
改ざんは川重が潜水艦用エンジンを自社開発するようになった当初から続いていた。1988~2021年に納入されたエンジン計66基(除籍を含む潜水艦33隻分)に及び、海自が現在保有する24隻のうち23隻に搭載されているという。
一方、川重も26日に外部弁護士からなる特別調査委員会の追加報告を公表し、公表済みの商船用に加えて潜水艦用エンジンでも燃費性能に関わる検査不正があったと明らかにした。
川重では、海自潜水艦の修理契約を巡って約17億円の裏金を捻出し、海自隊員らに不適切に物品を供与していた問題も24年に発覚しており、川重はこの問題の追加報告も公表。「実際とは異なる作業時間の計上が行われていた」とした。
そのうえで追加報告は「前例踏襲、コンプライアンス(法令順守)軽視、事なかれ主義の組織風土が醸成されていた」と指摘。川重の橋本康彦社長は「指名停止措置を大変厳粛に受けとめている。実効性の高い再発防止策に徹底して取り組み、信頼回復に全力で努めていく」とのコメントを出した。川重によると、不正に関与した従業員を今後処分するという。
防衛省は川重の相次ぐ不祥事について「大変遺憾。同種事案が今後発生することがないよう、不適切な行為の根絶や再発防止を強く求めていく」としている。
また、防衛省は26日、川重から私的な物品を受領した海自隊員11人を懲戒処分としたと発表した。1人当たり約1万~40万円相当、計116万円相当の物品を受領したという。
処分の内訳は停職(5~15日)3人、減給8人。停職3人の処分理由はいずれも、潜水艦修理で工事内容などの決定権限を持つ造修補給所の監督官ポストにありながら、利害関係にある川重から物品の供与を受けたとした。【松浦吉剛、成澤隼人、竹内望】
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