「頼りになると感じてもらいたく」 交際相手に情報漏えいの元検事

2025/12/26 20:43 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 他人の前科情報を交際していた女性に漏らしたとして、さいたま地検は26日、所属する阿南健人(たけひと)検事(35)を国家公務員法(守秘義務)違反で略式起訴したと発表した。さいたま簡裁は同日、罰金30万円の略式命令を出した。検事は即日納付し、法務省から懲戒免職とされた。職務上の行為を理由とした免職処分は、2010年に発覚した大阪地検特捜部の証拠改ざん事件以来。

 さいたま地検によると、阿南元検事は妻がいるのに、漏えい相手の女性に独身と伝えて交際していた。漏えいされた前科情報は女性がトラブルになっていた人物に関するものだった。女性から提供を求めた事実はなく、元検事は「交際相手が心配だった。頼りになると感じてもらいたかった」と一方的に提供したことを認めたという。

 起訴状によると、元検事は静岡地検沼津支部に勤務していた24年6月、女性がトラブルになっていた人物の判決内容などの前科情報を職場の端末から入手し、付箋に記載して女性に渡し、職務上知った秘密を漏らしたとされる。

 元検事はさいたま地検の聴取に事実関係を認め、「自分のやったことは許されることではない。深く反省している」と述べたという。上司だった当時の静岡地検の検事正と次席検事は監督上の責任を問われ、ともに厳重注意処分となった。

 最高検は綱紀の保持徹底を求める通知を全国の地検や高検に出し、全検察官を対象とした倫理研修を実施する。記者会見した最高検の山元裕史次長検事は「検事として求められている責任感や倫理観が欠如していることが明らか。信頼を大きく損なうもので極めて遺憾。国民の皆様に深くおわび申し上げる」と謝罪した。【板鼻歳也、北村秀徳、五十嵐隆浩】

毎日新聞

社会

社会一覧>