米FRB議長への刑事捜査、歴代トップや「身内」から懸念噴出

2026/01/13 15:29 

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 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長に対するトランプ米政権の刑事捜査に批判が噴出している。グリーンスパン氏をはじめ歴代議長らが捜査当局の対応を批判する共同声明を発表したほか、ベッセント財務長官もトランプ大統領に懸念を伝えたと報じられるなど影響が拡大している。

 共同声明はグリーンスパン氏のほか、同じくFRB議長を務めたバーナンキ氏やイエレン氏、ブッシュ(子)政権で財務長官を務めたポールソン氏ら経済閣僚経験者や経済学者14人が連名で署名した。

 中央銀行は政府からの独立性が認められている。声明では、捜査について「FRBの独立性を損なうために検察を利用する前例のない試みだ」と糾弾。「制度が脆弱(ぜいじゃく)な新興国の手法だ」と強く非難した。

 トランプ氏はFRBに対し景気上昇につながる利下げを繰り返し要求し、慎重なパウエル氏と対立していた。声明ではトランプ氏の要求通り過度な利下げを実行すれば、かえって物価上昇(インフレ)を招くなどと警告した。

 パウエル氏は11日、FRB本部ビルの改修工事を巡り、自らが刑事捜査の対象になっているとビデオ声明で明らかにした。昨年6月の上院銀行委員会での証言に虚偽内容があったとの疑いが持たれているという。

 ただ、捜査が政権の意向に沿ったものだとの批判は高まり、トランプ氏の周囲からも異論が出ている状況だ。米ニュースサイト「アクシオス」は12日、ベッセント氏が11日遅く、一連の捜査が金融市場に悪影響を及ぼす可能性があるとトランプ氏に直接電話で伝えたと報じた。

 トランプ氏は5月に任期満了となるパウエル氏の後任候補を4人に絞り、最終選考中とされる。ただ、上院銀行委メンバーで、与党・共和党のティリス議員は11日の声明で、捜査について「問題となっているのは司法省の独立性と信頼性だ」と指摘。「法的問題が解決されるまで、次期議長を含めたあらゆるFRB理事の指名に反対する」とクギを刺した。

 下院金融サービス委員会のヒル委員長(共和党)も12日の声明で、パウエル氏を「強い責任感を持つ誠実な人物」と評価。「捜査は不要な混乱を招く」と疑問を呈した。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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