習氏、台湾問題で徐々に主導権 貿易交渉絡みトランプ氏は融和姿勢
中国国営新華社通信によると、4日の米中首脳による電話協議で中国の習近平国家主席は、トランプ米大統領から「台湾問題における中国の懸念を重視している」との発言を引き出した。
韓国で昨年10月に開かれた米中首脳会談後のトランプ氏は「台湾問題は議論しなかった」と述べていたが、その後11月と今回の電話協議では、いずれも台湾問題が議題になった。4月に予定されるトランプ氏の訪中に向け、中国は台湾問題を巡る議論で徐々に主導権を握ろうとしている。
トランプ政権は昨年12月、過去最大規模となる総額約111億ドル(約1兆7000億円)相当の台湾への武器売却を承認した。これについて習氏は今回の電話協議で明確に懸念を示し、「慎重に取り扱わなければならない」と訴えた。トランプ氏の「懸念を重視」という言葉は、この文脈で出てきたものとみられる。
一方、トランプ氏は中国との貿易交渉を重視し、融和的な発言を繰り返している。米中を「G2(グループ・オブ・ツー)」とも度々表現。台湾問題での踏み込んだ発言も避けてきた。米国防総省が1月に公表した国家防衛戦略でも対中抑止力強化には言及したが、台湾には触れなかった。
4日の電話協議後も自身のソーシャルメディアで、「中国との関係、習氏との個人的な関係は極めて良好で、この関係を維持することの重要性を両者が理解している」と強調。その上で4月の訪中を「非常に楽しみにしている」と明かした。
習氏は昨年10月の首脳会談では議題とならなかった台湾問題について、今年4月のトランプ氏訪中時にはしっかりと議論し、中国側の主張への理解や支持を求める狙いだとみられる。その場合、台湾有事を「存立危機事態になり得る」とした高市早苗首相の国会答弁によって悪化した日中関係を置き去りにした形で、米中関係は改善、強化されていく懸念もある。
一方、習氏は4日、プーチン露大統領ともオンラインで会談。中国のベテラン記者による時事評論コラム「牛弾琴」は「露米の大統領と同日中にオンライン会談と電話協議をしたのは初めてだ」とし、欧州などの首脳の訪中が相次いでいることも踏まえ「中国の国際的な影響力が拡大している」と誇った。
また米中、中露いずれの対話でも、イラン情勢がテーマとなった。核開発を巡るイランとの交渉を模索しつつ、攻撃を示唆して圧力をかけるトランプ政権は、イランを中東での重要なパートナーと位置づけ、同国産原油の最大の買い手でもある中国の姿勢を確認した可能性がある。【北京・畠山哲郎、ワシントン松井聡】
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