2025年度予算案を閣議決定 総額115兆5415億円、過去最大

2024/12/27 10:09 

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 政府は27日、2025年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は115兆5415億円となり、23年度当初予算(114兆3812億円)を超えて過去最大となった。社会保障関係費や防衛費、国債の利払いや返済に充てる国債費が膨らみ歳出拡大が続く。物価高や民間の賃上げ動向を踏まえ、保育士や教員、自衛官らの処遇改善策も盛り込んだ。

 政府は同日、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」を123万円に引き上げることなどを明記した政府税制改正大綱も閣議決定した。25年1月開会の通常国会に予算案と税制改正関連法案を提出する。「少数与党」による政権運営のため、成立には野党の主張の取り込みなど調整が必要になる可能性がある。予算案について石破茂首相は同日、「少数与党なので野党の賛成がなければ成立しない。賛成していただける環境を醸成したい」と述べた。

 歳出は前年度当初比2・6%増。国の政策に充てる一般歳出は0・7%増の68兆2452億円で、このうち最大の社会保障関係費は1・5%増の38兆2778億円となった。薬価の引き下げや高額療養費制度の自己負担限度額の引き上げなどで歳出を抑えたが、高齢化に伴う伸びで過去最大となった。

 防衛関係費は初めて8兆円台の大台に乗った。27年度までの5年間で計43兆円を確保する防衛力の抜本強化方針に基づき、9・5%増の8兆6691億円とした。

 前年度に1兆円を計上した物価高対応や賃上げ促進のための予備費はなくす。一方で、人事院勧告に基づいて保育士らの給与を引き上げるほか、公立学校教員の残業代の代わりとなる「教職調整額」を初めて引き上げる。定員割れが続く自衛官の確保に向け、若手自衛官向けの給付金も新設する。

 国債費は4・5%増の28兆2179億円となり過去最大となった。日銀の金融政策の変更に伴う金利上昇を踏まえ、利払い費の想定金利を前年度の1・9%から2・0%に引き上げたことが影響した。

 歳入は、税収が12・7%増の78兆4400億円になると見込んだ。6年連続で最高を更新する。賃上げなどにより法人、所得、消費の主要3税全てが伸びた。

 税収増に伴い、新規国債の発行は19・2%減の28兆6490億円となる。当初予算ベースでは08年度以来17年ぶりに30兆円を下回るが、歳入の4分の1を借金である国債で賄う財政構造だ。【加藤美穂子、山下貴史、園部仁史】

毎日新聞

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