中国人ビザ緩和、自民保守派が反発 岩屋外相に党部会で説明求める

2025/01/28 19:05 

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 政府が昨年末に発表した中国人観光客向けの査証(ビザ)発給に関する緩和措置を巡り、自民党保守派が反発している。外務省は事実関係を丁寧に説明し理解を求める方針だが、収まる気配はない。

 28日に党本部で開かれた外交部会・外交調査会の合同会議には議員約20人が出席した。米国のトランプ新政権発足が議題だったが、1時間を超えた会議の半分はビザ緩和のやり取りに費やされた。

 星野剛士外交部会長によると、岩屋毅外相が24日の記者会見で「(ビザ緩和について)党で了承をいただく手続きは今まで取ってきていない」と述べたことに出席者が反発。岩屋氏自ら部会に出席して説明すべきだ、との声が上がったという。

 発端は2024年12月25日、中国を訪問した岩屋氏がビザ緩和措置を発表したことだった。これまで最長5年だった観光目的の数次ビザを10年に延長するなどの5項目。中国側が前月、日本人に対する短期滞在ビザ免除措置を再開していた。

 これに対し、自民内では、交通渋滞やマナー違反といったオーバーツーリズム(観光公害)につながるとの懸念だけでなく、日中間に懸案が山積する中でのビザ緩和に不満が噴出した。中堅議員は「年末年始に地元に帰った際、支援者から『なぜ中国にすり寄るのか』と言われた」という。

 非営利団体「言論NPO」(東京都)などが昨年12月に発表した日中共同世論調査では、中国の印象を「良くない」とする日本側の回答は89%。自民関係者は「保守派の反発の背景に反中感情がある」と指摘する。

 岩屋氏は24日の記者会見で「今回の措置がただちに中国人観光客の無秩序な急増につながるものではない」と釈明。28日の会見でも「政府として引き続き丁寧に説明を行う」と述べた。【加藤明子、金寿英】

毎日新聞

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