皇室典範改正勧告、国連委に対抗措置 外務省が抗議の姿勢鮮明に

2025/01/29 19:56 

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 外務省は29日、皇位継承を男系男子に限る皇室典範の改正を勧告した国連女性差別撤廃委員会への対抗措置を発表した。同委員会の事務局である国連人権高等弁務官事務所に対し27日、日本が支払っている任意拠出金を同委員会の活動には使わせないと伝達したという。

 外務省によると日本は同弁務官事務所に年間2000万~3000万円程度を拠出している。その拠出金が同委員会に使われた実績は少なくとも2005年以降なく、今回の対抗措置による予算執行上の影響は見込めないものの、勧告に抗議する日本政府の立場を「より明確に示すことになる」と、対抗措置を記者会見で発表した外務省の北村俊博外務報道官は語った。

 北村氏はまた「皇位につく資格は基本的人権に含まれておらず、女子に対する差別には該当しない」「皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項であり、女性差別撤廃委員会が皇室典範を取り上げるのは適当ではない」などとの日本政府の立場を説明した。

 外務省は、男女共同参画などの日本の取り組みを視察する同委員会の訪日プログラムの再開を見送るとも発表した。新型コロナウイルス対策で一時停止し、今年から再開予定だった。

 同委員会は昨年10月、男系男子に皇位継承を限る皇室典範の規定が女性差別撤廃条約の理念と「相いれない」と指摘し、皇室典範の改正を日本政府に勧告した。日本政府は「国家の基本に関わる事項だ」として抗議し削除を要請していたが、受け入れられなかった。【加藤明子、金寿英】

毎日新聞

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