トランプ政権、連邦政府補助金の支出凍結を撤回 裁判所も差し止め

2025/01/30 07:57 

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 トランプ米政権は29日、連邦政府による補助金や公的融資の支出を凍結する方針を撤回した。社会福祉や教育分野で公的支援が止まるとの懸念が拡大。政権は「年金や社会福祉分野に影響はない」と釈明していたが、わずか2日で撤回に追い込まれた。

 ただ、連邦政府の政策を抜本的に見直す姿勢は変えておらず、将来的にバイデン前政権が決めた気候変動対策の補助金などが覆される可能性は残っている。

 ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)は27日に補助金などの全面凍結を決定し、28日から施行する予定だった。しかし、「連邦議会が成立させた予算を凍結することは、前例のない広範囲にわたる違法行為だ」(民主党のマレー連邦上院議員)といった批判が噴出。連邦政府から支援を受けている非営利団体(NPO)の訴えを受けて、連邦地裁が28日に支出凍結の一時差し止めを命じていた。

 ホワイトハウスのレビット報道官は29日の声明で「裁判所の判断や不誠実な報道によって、連邦政府の政策に関して混乱が生じた。こうした混乱を収束させるため、(支出凍結の)方針を撤回した」と説明。一方で「支出の全面的見直しは、全ての省庁で実行される。今後、連邦政府のひどい無駄遣いを終わらせる施策を出していく」と述べた。

 連邦上院歳出委員会で民主党トップを務めるマレー氏はX(ツイッター)への投稿で「抗議の声を上げた全ての国民にとって重要な勝利だ。トランプ政権は無能で、法律を軽視しており、深刻な混乱と損害を生じさせている」と政権を批判した。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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