旧安倍派元会計責任者の参考人招致 野党賛成多数で議決 衆院予算委

2025/01/30 09:04 

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 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、衆院予算委員会は30日午前、旧安倍派の元会計責任者の参考人招致について、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で議決した。自民は反対し、公明党は採決前に退席した。衆院事務局によると、衆院予算委で多数決により参考人招致を議決するのは1974年以来51年ぶり。

 元会計責任者は、旧安倍派の松本淳一郎元事務局長。昨年10月、政治資金規正法違反(虚偽記載)で禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決が確定した。パーティー券収入のノルマ超過分のキックバック(還流)について、公判で「一度中止が決まった後、幹部議員が復活要求し、再開された」と発言していた。

 野党側は「事件の真相解明に不可欠だ」とし、2025年度当初予算案の審議を始める前提として松本氏の参考人招致の議決を要求。自民は「既に司法で決着がついている」と疑問を呈し、全会一致の慣例を理由に、多数決で決めることにも反対していた。

 しかし、与野党の議論が平行線をたどったことで予算審議の日程にも影響。安住淳予算委員長(立憲)が29日に採決を提案し、与野党が了承した。

 公明は自民との事前協議で、採決になった場合は「全容解明の観点から賛成をさせていただく」(西田実仁幹事長)と伝え、賛成する構えを示していたが、採決前に退席した。連立を組む自民との関係悪化に配慮したとみられる。

 参考人招致に応じるか否かは任意で、松本氏は否定的な意向を自民に示している。安住氏は2月10日をめどに参考人質疑を実施したい考えで、松本氏に文書で出席を要請する。

 安住委員長は委員会終了後、記者団に「自民党の1強時代は、予算委員会で問題提起があっても投げっぱなしだった。与野党伯仲で要求は速やかに取り上げ、結論に達したことは私なりの責任を果たしたのではないか」と語った。

 一方、自民の井上信治与党筆頭理事は「議決は大変遺憾。(松本氏は)私人で確定判決が出ている。数の力による議事運営は厳に慎んでほしい」と反発した。

 公明の西田幹事長は記者団に「全容解明をするということが、まず何よりも大事だ」と強調した上で、「多数決という数の力によって、応じないと言っている民間人を招致することは反対。その意思を明確にするために退席をした」と説明した。自民と対応が分かれたことについて「実態解明は自民党がしっかりやってもらう。特段、何か関係が壊れることにはならない」と影響を否定した。

 この日の予算委は、予算案の趣旨説明までの約20分で審議を終了。実質的な審議は当初予定から1日遅れの31日から始まり、まずは石破茂首相出席の下で3日間、基本的質疑を行う。【森口沙織、池田直、野間口陽】

毎日新聞

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