旧安倍派の元会計責任者の参考人招致決まらず 予算案審議に影響

2025/01/28 20:16 

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 衆院予算委員会の理事懇談会は28日、自民党の派閥裏金事件を巡り、野党側が求める旧安倍派の元会計責任者の参考人招致について協議した。自民側は招致に反対する考えを重ねて示し、安住淳委員長(立憲民主党)は委員会採決するかどうかの結論を持ち越した。

 野党側は招致の議決を、2025年度当初予算案の審議を始める前提としている。29日の理事懇で改めて協議するが、結論が出なければ予算案審議入りの日程が遅れ、政府・与党が目指す年度内成立が厳しくなる可能性がある。

 参考人招致は憲法が認める国政調査の一つ。証人喚問と異なり、出席は強制されず偽証罪にも問われないが、疑惑の真相解明に向けた手段となってきた。

 現在の予算委は野党側の委員が過半数を占めるため、採決されれば招致が決まる見通し。ただ、旧安倍派の会計責任者だった松本淳一郎元事務局長は自民側に出席に消極的な意向を伝えており、実現するかは不透明だ。

 松本氏は自民の意思確認に対し、裁判で証言した以上の話はない▽すでに禁錮3年、執行猶予5年の判決を受けた▽公の場に出てくることは負担で、家族にさらなる迷惑をかけることになる――などの理由で「差し控えてほしい」と文書で伝えている。

 28日の理事懇後、安住氏は記者団に「国会の参考人で来てもらうべきだという考え方は世論としても多数を占める。与野党合意のもとで予算案の審議をスタートしたい」と述べ、与野党に再協議を求めた。与党筆頭理事の井上信治氏(自民)は「予算案の審議が延びることは避けたい。できる努力はしたい」と語った。

 理事懇に先立ち、自民の森山裕、公明党の西田実仁両幹事長らは東京都内で会談。西田氏は採決となった場合、「(裏金事件の)全容解明の観点から、賛成をさせていただくことになる」と伝えた。【池田直、森口沙織、富美月】

毎日新聞

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