高額療養費制度の見直し 石破首相、患者団体への意見聴取を検討

2025/01/31 18:54 

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 石破茂首相は31日の衆院予算委員会で、高額な医療費の患者負担を抑える「高額療養費制度」を見直す過程で、実施していなかった患者団体への意見聴取を検討する意向を明らかにした。自己負担の限度額を引き上げる見直し案は昨年末に公表されているが、患者団体から「受診抑制や治療断念につながりかねない」との訴えが上がっていた。

 見直し案では、今年8月から2027年8月までに3段階に分けて限度額を引き上げる。年収約370万~約770万円の平均的な所得層では、月の限度額が最大で5万8500円上がる。

 昨年11~12月に厚生労働省の審議会などで議論されてきたが、患者団体の当事者は参加せず、意見聴取もなかった。長期にわたって高額な治療を受けざるを得ないがん患者団体などがオンライン署名(約5万5000筆)を集めるなど、見直しを求める声が高まっていた。

 首相は意見聴取を求める立憲民主党の酒井菜摘衆院議員に対し、「一番苦しんでいる方々の声を聞かずにこのような制度を決めていいとは思わない」と述べ、「どういう形で聞くのが一番適切か検討したい」と答弁した。

 傍聴していた全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「長期治療を続ける患者は経済的な負担が大きい。我々の切実な声を聞いてもらい、制度設計の再検討を求めたい」と述べた。【阿部絢美】

毎日新聞

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