フジテレビ系列、損失額13~14億円規模 地方局も経営揺らぐ事態に
タレントを引退した中居正広氏による女性とのトラブルを受けて相次いだフジテレビのCMスポンサー離れを受け、フジ系列局の損失額が2025年3月期に計13億~14億円規模に上るとみられることが31日、フジ系列局関係者への取材で分かった。事態の収束は見通せず、損失はさらに膨らむ可能性がある。問題はフジにとどまらず、地方局の経営をも揺るがす事態となっている。
フジが1月17日に1回目の記者会見をして以降、フジへの自社CMの出稿を差し止めてACジャパンの公共広告に差し替えた企業は70社超に上る。2月以降のCM契約もキャンセルが出ている。フジはCM差し替え分やキャンセル分については広告料を請求しない方針。第三者委員会が調査報告書をまとめるのは3月末をめどとされており、現状ではスポンサーが戻るための材料は乏しいとみられる。
フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(HD)は30日、25年3月期連結決算の業績予想を下方修正し、最終(当期)利益を従来予想の290億円から98億円に引き下げた。前期の最終利益370億円からは約74%の減少で、フジテレビの広告収入は従来予想比233億円の減少を見込んだ。フジ単体の最終損益は赤字に転落する見通しだ。
影響はフジテレビだけにとどまらない。スポンサーは、フジが制作する番組に対して全国一律でCMを差し替えたり、系列の地方局と個別に契約するCMを止めたりしている。関係者によると、系列局全体での損失額は現時点の見積もりで13億~14億円程度で、今後も2億~3億円程度膨らむ可能性があるという。
会社にもよるが、地方局は「一般的に収益の9割前後を広告収入に依存している」(関係者)とされる。規模の小さい地方局を中心に、ただでさえ経営状態が厳しい中で、今回の問題が打撃となることは不可避の情勢だ。
番組を制作して全国に送り出す「キー局」のネットワークに属する地方局は、各地域の放送エリアで、基本的に同系列のキー局が制作した番組を中心に放送している。フジのネットワークには全国28社が加盟している。【町野幸】
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