核禁条約、オブザーバー参加見送り 岩屋外相表明 安保環境踏まえ

2025/02/18 19:58 

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 岩屋毅外相は18日の記者会見で、3月3日から米国で開かれる核兵器禁止条約第3回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を見送ると表明した。日本周辺の厳しい安全保障環境を踏まえた判断だという。

 岩屋氏は「我が国周辺では質的、量的な核軍拡が進んでいるという厳しい現実を直視しなければならない。核兵器の使用をほのめかす相手を通常戦力だけで抑止することはできない」などと語った。

 日本と同じく米国の「核の傘」の下にあるドイツのオブザーバー参加事例を調べるなど、日本がオブザーバー参加するかどうかを巡り「さまざまな角度から熟慮を重ねてきた」と説明。その結果、「(参加は)適当とは言えないとの結論に至った」と述べた。

 その理由として、日本はこれまで核保有国と非核保有国双方が参加する核拡散防止条約(NPT)を重視してきたと強調。核兵器を禁止しようとする条約の会議にオブザーバーの立場であっても参加すると、唯一の戦争被爆国として核軍縮分野で大きな影響力を持つ日本が得てきた幅広い支持を失いかねないとも主張した。

 日本政府のオブザーバー参加は、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)や被爆地の広島、長崎両市長、公明党が石破茂首相に要請していた。日本は核兵器禁止条約に参加しておらず、第1回、第2回会議へのオブザーバー参加も見送っていた。

 日本被団協の田中熙巳代表委員は「極めて残念です。日本政府は核兵器禁止条約を国会で議論し、一日も早く署名、批准すべきだと考えています。そして核兵器のない世界に向けて、先頭に立って活動することを願っています」とのコメントを発表した。【金寿英】

毎日新聞

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