「抵抗あった」「すぐ突き返せず」 石破首相の商品券で1期生側が釈明

2025/03/14 20:39 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 石破茂首相が自民党衆院1期生に商品券を配布した問題は、1期生側が報道を追認する形で「返却した」「すぐ突き返すことはできなかった」と釈明。一方、市井の金銭感覚からかけ離れた「政治とカネ」の不祥事を首相自ら起こしたことに、有権者から憤りや落胆の声が相次いでいる。

 「きょうはよろしくお願いします。本日のお土産になります」。首相との会食に出席した1期生や秘書によると、会食当日の3日、首相の事務所関係者が議員会館に、老舗百貨店の包みが入った袋を持参した。「大きさから商品券とすぐ分かった」とある秘書は話す。

 山本大地氏(和歌山1区)は14日、「会食の翌朝、事務所に商品券が届けられていることを知った。新人議員同士で相談し、私は大空幸星議員(比例東京)と石破さんの事務所へ返しに行った」と明らかにした。「当時は法的に問題があるかどうかまでは考えられていなかったが、商品券をもらうこと自体に抵抗があった」と返却した理由を語った。

 栗原渉氏(福岡5区)は毎日新聞の取材に「(他の議員から紙袋の)中身を聞いて、世の中の当たり前の感覚として受け取れないと思い、未開封のまま11日ごろにお返しした」と語った。別の1期生も2、3日たってから額を知り、開封せずに返却した。「首相からもらったものなので、すぐに突き返すことはできず考える時間が必要だった」と秘書は話す。

 首相の地元である鳥取県八頭町の道の駅を訪れていた同県若桜町の竹田隆広さん(64)は「ニュースを見てびっくりした。首相にもなって、応援していたのに残念。物価高で国民が困っている時に、10万円はちょっと桁が違うというか、感覚が違う」と話した。

 2019年の参院選で大規模買収事件が起きた広島県内でも厳しい声が上がった。広島市東区のパート従業員、岸部美智恵さん(52)は「国民の知らないところで政治がお金によって動かされていると考えると不信感を抱く。クリーンな政治をしてほしい」と憤った。

 東京都板橋区では、昨年10月、自民派閥裏金事件に関係した地元の下村博文元政調会長が衆院選で非公認となり落選したばかり。同区の主婦(82)は「自分のお金で配ったならいいんじゃないかと思うけれど、これだけ政治とカネの問題が騒がれている中でそんなことをやるから批判される。私たち庶民と国会議員は違うのね」と突き放した。

 自民系知事からも苦言が出た。群馬県の山本一太知事は「国民感情を逆なでする。決してやるべきじゃなかった」と指摘。「『まずいですよ』と周辺で言う人がいなかった首相官邸の危機管理が心配だ。首相は古い政治文化にどっぷりつかっている人ではないので、どうしちゃったのか」と取材に語った。【長屋美乃里、後藤浩明、安西李姫、山田泰正、井村陸、田所柳子】

毎日新聞

政治

政治一覧>

写真ニュース