市長不在の岸和田市、骨格予算案を議会予算委が否決 混乱に拍車
大阪府岸和田市議会の予算委員会は17日、市長不在で編成された市の2025年度一般会計当初骨格予算案を反対多数で否決した。市議会解散や2度の不信任決議を受けた市長の失職と市政を巡る混乱は予算編成の時期まで長引き、骨格予算案の否決で混乱に拍車がかかる。反対した議員は「新しい市長が選挙の公約を反映させた本格予算を編成すべきだ」などを理由に挙げた。骨格予算案は21日の本会議で否決される見通しで、市は暫定予算案を編成することになりそうだ。
市は総額944億3600万円の一般会計当初予算案を発表した後に市長が失職したため、撤回して編成作業をやり直し、義務的な経費を中心とする骨格予算案を議会に提案した。当初予算案の1・8%減の927億1970万円で、一部公共施設の照明のLED化や新庁舎建設の基金積み立て、桜台・光明認定こども園整備、市道整備などの経費を削減した。
この日の予算委で、「市政の停滞を解消するため、新しい市長の公約を網羅して市民の思いが組み込まれた本格予算にする必要があり、それまでは暫定予算にすべきだ」「新市長が予算編成権を最大限発揮できるように求める」などの反対意見が出された。前市長の責任を指摘し、「当初予算案から1・8%しか削減されず、前市長の意向の強い予算が多数含まれている。前市長が自ら招いた不信任に対し大義のない議会解散をした結果であり、(辞職して)自ら出直し市長選をすればこのような問題は発生しなかった」との発言もあった。
これに対し、「公共事業や市民生活に欠かせない経費、継続的なものは早期に実施しなければいけない」との賛成意見も出た。骨格予算案は採決の結果、反対6、賛成4で否決された。
予算委での否決を受け、市は臨時部長会を開いて対応を協議した。市長職務代理者の岸勝志副市長は取材に対し、「否決されたことは残念で、市民生活に影響のないようにしていく」と述べた。
骨格予算案が本会議で否決された場合、市は一定期間に必要不可欠な経費を盛り込んだ暫定予算案を編成する見込み。市長選は30日に告示、4月6日に投開票され、新市長が政策的な経費を盛り込んだ本格予算を編成する。
同市は24年度も新しい市庁舎の建て替えを巡って議会が当初予算案を否決し、4カ月間の暫定予算が編成された。【中村宰和】
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