世耕氏を21日午後に参考人招致 与野党の追及、この3点に注目

2025/04/21 11:00 

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 自民党の政治資金パーティー裏金事件を巡り、世耕弘成・前参院幹事長の参考人招致が21日午後、参院予算委員会で実施される。この事件で、旧安倍派幹部の参考人招致は初めて。与野党が質疑に臨むが、何が焦点となるのか。三つのポイントから振り返る。

 ◇①還流再開はいつ決まったか

 旧安倍派では所属議員にパーティー券販売のノルマを割り当て、超過分を議員側にキックバック(還流)することで裏金の温床となっていた。

 2022年4月、派閥会長だった安倍晋三元首相が「不透明で疑念を生じかねない」と還流中止を指示したが、同年7月に安倍氏は銃撃されて死亡した。

 同年8月、派閥の幹部会が開かれ、世耕氏、塩谷立・元文部科学相、下村博文・元文科相、西村康稔・元経済産業相――の4人が会計責任者だった松本淳一郎氏とともに協議したとされるが、問題はそこで還流再開が決まったのか否かだ。

 会計責任者だった松本氏は今年2月、衆院予算委の参考人聴取に対し、22年8月の幹部会について「(再開の)方向性を決めた会だと認識している」と説明した。

 一方、世耕氏は昨年3月の参院政治倫理審査会で、この幹部会について「確定的なことは決まっていない」と説明。還流再開の経緯は「残念ながら私も分からない」などと語り、食い違いが生じている。この点について、世耕氏がどのように説明するかが注目される。

 ◇②誰が還流再開を求めたのか

 次の焦点は、誰が還流再開を求めたかだ。

 松本氏は2月の参考人聴取に対し、還流再開を要求した派閥幹部の名前を明かさなかったが、「(今は)現職ではない」と証言した。幹部4人のうち、下村氏は24年衆院選で落選し、塩谷氏は政界を引退している。

 下村氏は毎日新聞の取材に、還流再開を求める派閥議員1人の意見を22年6月末から7月上旬ごろ松本氏と安倍元首相に伝えたと説明した上で、「私自身が『再開しろ』と松本氏に言った事実はない」と主張した。

 この点に関する世耕氏の認識もポイントとなりそうだ。

 ◇③参院選の特例ができた経緯は

 旧安倍派には、参院選の年に参院議員に対する特例としてパーティー券の販売ノルマを免除し、議員が販売した分を全額還流するシステムがあったとされる。

 世耕氏は19~23年に自民の参院幹事長を務めたが、政倫審では「ルールがどこからか始まって運用されていた」などとあいまいな説明に終始した。元参院幹部として世耕氏がどのように説明責任を果たすのか、注目が集まる。

 世耕氏は裏金事件で自民党から離党勧告処分を受け、昨年4月に離党。同10月の衆院選にくら替え出馬し、和歌山2区で当選。無所属のまま自民の衆院会派に入会した。【鈴木悟】

毎日新聞

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