赤沢氏、4回目の日米関税協議へ出発 相互・追加関税の撤廃目指す

2025/05/29 19:20 

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 トランプ米政権の関税引き上げを巡る米側との4回目の閣僚協議のため、赤沢亮正経済再生担当相は29日、米ワシントンに向けて出発した。現地時間30日にベッセント米財務長官らと会談する見通し。日本政府は防衛装備品の購入や造船分野での協力などを交渉材料に、10%の一律関税や自動車や鉄鋼・アルミニウムへの25%の追加関税の撤廃を目指す。

 日本政府内では、トランプ氏が問題視する対日貿易赤字解消のため、戦闘機などの防衛装備品を購入する案が浮上している。赤沢氏は出発前の29日午前に官邸で石破茂首相と面会した後、記者団に対して「貿易赤字(の解消)の中に防衛装備品の購入が入れば事実上、米国側の貿易黒字が積み上がる」と述べ、「(交渉の)視野に入りうるものと思う」との認識を示した。

 一方で、在日米軍の駐留経費などを含む安全保障分野の議論は、関税交渉とは別ものとの認識を改めて示した。防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額する日本政府方針に対して、米側はGDP比3%までの引き上げを求める考えも示しているが「関税や通商政策の交渉とは全く切り離された世界の話だ」と強調した。

 また、日本政府は米国が自国での復活を目指している造船分野の協力も有力カードの一つと位置づける。日本が技術的に強みを持つ砕氷船を北極海航路で利用したり、米国の軍艦を日本で修理したりすることが念頭にある。

 日米両政府は、6月15日にカナダで開幕する主要7カ国首脳会議(G7サミット)での首脳間合意を視野に協議を進める。日本政府はサミット前に5回目となる閣僚級協議の実施を模索しており、最重要視する自動車関税の引き下げを米国側から引き出せるかが焦点だ。【高田奈実、神山恵】

毎日新聞

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