高市氏「大きな一歩」 吉村氏「重い決断」 連立政権の樹立で合意

2025/10/20 21:16 

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 自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は20日、両党の連立政権を樹立することで合意した。維新は閣僚を出さず、政策協定に基づいて政権運営に協力する「閣外協力」にとどめる。維新は21日召集の臨時国会で実施される首相指名選挙で、高市氏に投票する方針を決定。高市氏が初の女性首相に選出されることが確実な情勢となった。同日中に新内閣が発足する。

 高市氏と吉村氏は20日、国会内で会談し、12項目にわたる「連立政権合意書」に署名した。高市氏は署名後の記者会見で「安定した政治が大事だ。政策協定に合意できたことは大変大きな一歩だ」と強調した。吉村氏は「重い決断をした。一丸となって政治を前に進めていきたい」と語った。

 政権の安定を重視する自民は、維新に複数の閣僚ポストを打診し、入閣を要請していた。しかし、維新は当面の間は閣外協力にとどめ、連携の行方を見定めることにこだわった。

 連立合意を受けても、自民と維新の2党では衆参両院で過半数に満たない。維新が連立離脱しやすい閣外協力にとどまったことで、高市氏は不安定な政権運営を強いられる。

 維新は遠藤敬国対委員長を首相補佐官と兼務させる方針で、与野党にパイプがある遠藤氏が政府とのつなぎ役を担うとみられる。

 連立政権合意書は冒頭で「安定した政権を作り上げ、『日本再起』を図ることが何よりも重要」とし、「全面的に協力し合うことを決断した」と明記した。「首相指名選挙の協力を誓い、連立政権を樹立する」とも記した。

 一方、12項目の政策については曖昧な表現が目立った。維新が交渉途中から合意の「絶対条件」に加えた衆院議員定数の削減については「1割を目標に(21日召集の)臨時国会に法案を提出し、成立を目指す」と記載するにとどまった。

 両党で大きな隔たりがある企業・団体献金のあり方を巡っては、臨時国会中に協議体を設置し、高市氏の総裁任期の2027年9月末までに「結論を得る」と先送りした。

 2年間の食料品の消費税率ゼロについても「検討を行う」とのみ記載。社会保険料引き下げを含む「社会保障改革」は、今年6月の自民、公明、維新による3党合意を確実に履行し、さらに定期的に協議を継続するとした。

 一方、維新が看板政策に掲げ、災害時の首都機能のバックアップを担う「副首都構想」に関しては、臨時国会中に協議体を設置し、来年の通常国会で「法案を成立させる」と明記した。

 連立合意を受け、維新は21日の首相指名選挙で1回目から高市氏に投票すると決定した。このほか、無所属の4衆院議員が、高市氏に投票する見通しだ。

 議決が優先される衆院で自民(196議席)、維新(35議席)と無所属の4議員を合わせると計235議席となり、維新から離脱者が出なければ1回目の投票で過半数(233議席)を超えて選出される公算が大きい。【園部仁史、富美月、原諒馬】

毎日新聞

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