生活保護費減額は一律2.49%に 厚労省、最高裁判決受け改定へ

2025/11/20 20:01 

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 国が過去に実施した最大10%の生活保護費の減額処分を違法として取り消した最高裁判決への対応について、厚生労働省は違法とされた引き下げ方法とは別の手法で2・49%の減額改定を再度行う方針を固めた。訴訟の原告については負担に配慮し、違法とされた引き下げ分に相当する給付を別途行う。費用は2000億円規模になるとみられる。関連予算を補正予算案に盛り込む。

 最高裁判決は、2013~15年の生活保護費のうち、食費や光熱費などに充てる「生活扶助」の基準額の算定で、物価の下落率を基にした「デフレ調整」が国の専門家部会に諮られていないなどとして違法とした。一方、生活保護世帯と一般の低所得世帯の生活費を比べて見直す「ゆがみ調整」の違法性は否定した。

 厚労省は対応を検討するために設置した専門委員会の議論で、改定前の基準にゆがみ調整を反映して受給者に追加支給した場合、基準を決める際の比較対象となる一般低所得世帯の消費水準を上回るとして、当時の消費指標を基に再度の減額改定を行う案を示した。

 専門委が17日にまとめた報告書は、ゆがみ調整や再度の減額改定を「適当」とする一方、原告が求める基準改定前との差額の全額支給も選択肢として示した。

 厚労省は与野党に意見を聞いた上でデフレ調整(4・78%減)に代わり、一般世帯の消費実態と比較した結果、新たに2・49%の減額改定をする方針を固めた。また、ゆがみ調整も実施するため原告が求める改定前基準との差額の全額支給は実現しないことになる。【肥沼直寛、宇多川はるか】

毎日新聞

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