定数削減法案見送り 高市首相、成立目指す具体的時期は言及せず
高市早苗首相(自民党総裁)は16日、日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)と国会内で会談し、衆院議員定数削減法案の今国会での成立を見送ることで一致した。衆院各会派で構成する選挙制度協議会で、来年中に成案を得ることを目指す方針を確認した。
首相と吉村氏が会談後の記者会見で明らかにした。これを受け、政府・与党は臨時国会の会期延長を見送り、今国会は会期通り17日で閉会することが固まった。
党首会談は約40分間行われ、自民の木原稔官房長官や維新の藤田文武共同代表らが同席した。
吉村氏は会談で、自民と維新が5日に国会に共同提出した定数削減法案について「非常に難しい法案を自民党でまとめていただいたことに感謝する」と述べ、首相に謝意を伝えた。一方で、法案が審議入りできなかったことについて「非常に残念だ」と指摘。記者団に「来年の通常国会で削減法案を必ず実現させようと高市総裁と合意したと思っている」と強調した。
一方、首相は2026年5月ごろに速報値がまとまる国勢調査の結果を踏まえつつ、選挙制度協議会で議論していくと説明。「来年には成案を得ることができるように力を合わせていきたい」と述べるにとどめ、成立を目指す具体的な時期には言及しなかった。
また党首会談では、吉村氏が高校生の扶養控除について、控除を縮小せずに維持するよう要求し、両氏は維持していく方向性を確認した。吉村氏はひとり親世帯への支援を拡充するため、ひとり親控除の引き上げも要請し「前向きに進めていくことになった」と明らかにした。
維新は、連立政権合意書に盛り込んだ定数削減を「連立の絶対条件」(吉村氏)として重視。交渉過程では、自民に連立離脱の可能性を突きつける強硬策にも出ながら、今国会での実現を繰り返し要求していた。
だが、法案を審議する衆院政治改革特別委員会で、企業・団体献金の規制強化策などを盛り込んだ政治資金規正法改正案の審議が先行。会期末が17日に迫る中、定数削減法案は審議入りの見通しも立っていなかった。法案は継続審査となる予定。【園部仁史、原諒馬】
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