衆院選挙制度協議会、25年最後の会合 自民は制度案提示せず

2025/12/18 08:44 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 衆院各会派で構成する選挙制度協議会は17日、2025年では最後となる会合を開いた。自民党、日本維新の会は衆院議員定数削減法案の臨時国会での成立を断念し、協議会での議論を優先する考えを示しているが、この日の協議会で自民は具体的な制度改正案を明らかにせず、定数削減にも触れなかった。そもそも協議会は定数削減問題を主たるテーマとすることを当初想定しておらず、26年の通常国会で議論が深まるかは不透明さが残る。

 17日の協議会では①理想の選挙制度②現行制度を改善する場合の方策――をテーマに各会派が意見表明することになった。ところが、自民の大野敬太郎氏は党所属国会議員へアンケートをしたところ、現行制度には「一定の評価と課題認識が併存する」、理想の選挙制度では「小選挙区制と中選挙区制が同程度の割合だった」と紹介するにとどめ、自民としての制度案は提示せずに終わった。

 自民、維新は連立政権合意で定数削減法案を臨時国会に提出し、成立を目指すとしていた。法案では1割を目標に定数を現行の465から420以下に削減することは規定したが、具体的な選挙制度は先送りする形になっていた。

 自民側は「総裁選などで冷静に議論できる環境ができなかった」などとしているが、実態は「そもそもやる気がないのではないか」(野党関係者)とみる向きが大勢だ。臨時国会では自民が難色を示す企業・団体献金の規制強化策を盛り込んだ政治資金規正法改正案とともに定数削減法案も成立が見送られており、公明党幹部は「自民が一番得をしている」と評する。

 維新は将来的な選挙制度として中選挙区制を候補に挙げたが、選挙制度と定数削減の関係については触れず、具体性は見えなかった。衆院会派「有志の会」の福島伸享氏は与党の連立政権合意を「ありうべき選挙制度の議論がない定数ありきの議論は論外だ」と酷評した。

 一方、選挙制度改革自体も各党・各会派の意見には隔たりが大きい。国民民主党は中選挙区連記制の導入を提唱したが、立憲民主党は中選挙区制に否定的な考えを示した。公明、れいわ新選組、共産党は比例代表制を重視した選挙制度を理想の選挙制度として訴えた。

 立憲は定数削減問題で「協議会で丁寧な議論をして合意を見いだすのが筋だ」(野田佳彦代表)としているが、この日は具体的な案を示さなかったことも批判を受けた。国民民主の古川元久代表代行は記者団に、自民や立憲を「赤点だ」と厳しく指摘した。

 協議会の逢沢一郎座長(自民)は25年国勢調査結果の速報値がまとまる26年春までに結論を得ることを目指すとしているが、議論は低調だ。維新の藤田文武共同代表は17日の記者会見で「協議会が『決める政治』をやってくれるかだ。できないなら、我が党が言っていたことが正しいと証明される」とプレッシャーをかけた。【森口沙織、安部志帆子】

毎日新聞

政治

政治一覧>