米FDA禁止の着色料「赤色3号」 消費者庁「健康被害データなし」

2025/01/31 06:30 

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 菓子や漬物などに使われる合成着色料「赤色3号」について、米食品医薬品局(FDA)が、ラットでの発がん性の懸念を理由に使用許可を取り消した。一方、日本でも食品衛生法に基づき添加物として使うことが認められているが、消費者庁は「通常の使用では安全上の懸念はなく、健康被害のデータもない」としている。

 赤色3号は、エリスロシンという化合物から作られる食用タール色素の一種。米国では100年以上前から使用が認められている。加熱などに対して安定性が高く、食品の色味付けに使われる。

 代表的な使用例は、日本では菓子や漬物、かまぼこ、海外では食肉製品、ガムだ。医薬品でも使われている。

 FDAの1月15日の決定によると、環境団体などからの請願書を受けて、食品の安全性を厳格に判断する「デラニー条項」に基づいて取り消しを判断した。

 一方で、FDAは「他の動物や人を対象にした研究で同様のデータは確認されておらず、人への発がん性は入手可能な科学情報で裏付けられていない」とも強調している。

 消費者庁の調査によると、一般的な食生活を送る20歳以上の日本人が1日当たり摂取する赤色3号の量はわずかで、体重1キロ当たり0・05マイクログラム。世界保健機関(WHO)などの専門家会議が定める、生涯にわたって毎日食べ続けられる許容量(同0・1ミリグラム)の2000分の1だ。

 消費者庁は、FDAの判断を受け、見直しが必要かどうかも含めて検討するという。【渡辺諒、堀菜菜子】

毎日新聞

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