捜査用似顔絵、多言語で 万博に備え作成シート開発 大阪府警

2025/02/21 09:15 

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 2025大阪・関西万博で大勢の外国人が来日するのに備え、大阪府警は捜査用似顔絵の作成に役立てる外国語のシートをつくった。顔の部位などのイラストがさまざまなパターンで示されており、項目を選ぶだけで容疑者らの顔の特徴が伝えられる。

 府警鑑識課によると、事件捜査などに使う似顔絵を作成する際、日本語が通じない外国人に対しては通訳を介して容疑者や関係者の特徴を尋ねてきた。このため通常なら1時間程度の似顔絵を描くのに、倍以上の時間が必要だった。

 万博には2820万人が訪れると見込まれており、海外からの訪問客も多い。外国人が犯罪に巻き込まれるケースも増えるとみられ、似顔絵作成の時間短縮や捜査員の負担軽減が課題だった。

 シートは府警が約4カ月をかけて完成させた。英語、中国語、韓国語、ベトナム語の4種類があり、輪郭や目つき、髪形、服装などの項目ごとに複数のパターンでイラストが描かれている。それぞれの項目の中から合致するものを選んでもらうと、似顔絵の大枠が完成。さらに捜査員が細部の特徴などを聞き取って精密にし、捜査に役立てる。

 府警によると、同様のシートを導入するのは全国の警察でも珍しいという。

 外国人により伝わりやすい内容にするため、大阪国際交流センター(大阪市天王寺区)や府立水都国際中学・高校(同市住之江区)の職員から協力を得てシートをつくった。20日には鑑識課の矢野登志夫課長から両者に感謝状が贈られた。

 シートは2月から使用されている。鑑識課似顔絵係の首藤和正警部補は「被害者の記憶から作成した似顔絵によって捜査が進展することがある。外国の方が被害にあってしまった場合、より多くの人を救えるよう役立てたい」と話した。【斉藤朋恵】

毎日新聞

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